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インプラント治療 2021/02/20

失敗することもある!?インプラント治療のリスク13例

失敗することもある!?インプラント治療のリスク13例

たくさんのメリットがあるインプラントですが、治療に伴うリスクが怖くてなかなか一歩踏み出せない方も多いことでしょう。外科処置を伴う治療だけに、手術中や手術後のリスクに関しては詳しく知っておきたいことかと思います。ここではそんなインプラント治療のリスク13例をわかりやすく解説します。

インプラントの手術中のリスク

インプラント治療で最も不安に感じているリスクは、手術中に発生するものではないでしょうか。ケースによっては、後遺症が残ることもあり、十分な注意が必要です。

インプラントの手術中のリスク

1.神経・血管を傷つける

■原因
下顎の奥歯のインプラントで起こりやすいトラブルです。埋入部位のすぐ近くに「下顎管(かがくかん)と呼ばれる、重要な神経(下歯槽神経)と血管(下歯槽動脈)が入った管が存在しており、それを傷つけることによって、神経麻痺や大量出血が引き起こされます。術後に、口唇や頬の感覚が麻痺するという後遺症が残ることがあります。

■対策
歯科用CTを用いて、精密な画像診断を行います。下顎管のような重要な構造も3次元的な画像で描写できることから、安全な埋入位置の設定が可能となります。さらに、サージカルガイド(※1)を用いたガイデッドサージェリー(※2)を実施することで、実際の埋入処置もシミュレーション通りに進められます。

※1.サージカルガイド・・・インプラントの埋入方向、深さをガイドするマウスピース
※2.ガイデッドサージェリー・・・サージカルガイドを用いたインプラントオペ

2.上顎洞への穿孔

■原因
上顎の歯のすぐ上には、上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる空洞が存在しています。インプラントを埋入する角度や深さを誤ると、上顎洞に人工歯根の先端が突き出てしまうトラブルです。その結果、インプラント治療が失敗するだけでなく、上顎洞炎などの炎症性疾患が引き起こされます。

■対策
歯科用CTによる精密診断が第一です。上顎骨の深さを正確に把握することで、上顎洞への穿孔を未然に防ぐことが可能となります。仮に、上顎骨の深さが足りなかったとしても、「ソケットリフト」(※3)や「サイナスリフト」(※4)という、骨造成術「上顎洞挙上術(じょうがくどうきょじょうじゅつ)」を実施することで、安全にインプラントを埋入できるようになります。

※3.ソケットリフト・・・上顎の骨不足が軽度の場合の骨造成術
※4.サイナスリフト・・・上顎の骨不足が重度の場合の骨造成術

▶上記で触れた歯科用CTについて詳しく知りたい方は「インプラント治療に歯科用CTが必要な理由」の記事をご覧ください。

3.ドリルの摩擦で骨が焼ける

■原因
人工歯根は、専用のドリルで顎の骨に埋め込みます。その際、ドリルの回転速度が速すぎたり、注水量が足りなかったりすると、摩擦熱によって骨が焼けてしまうことがあります。顎の骨にも生きた細胞が存在しており、高熱に晒されることで壊死します。そうすると、骨とチタンとの結合がかなわず、インプラント治療も失敗します。

■対策
ドリリングは、術者の技術力に依存する操作なので、経験豊富な歯科医師に執刀してもらうのが一番です。ゆっくりと確実に、適切な注水を行いながらドリルを回転させる、という丁寧な処置を行うことで、ドリリングによるオーバーヒートは回避できます。

インプラント手術後のリスク

インプラント手術が無事に終わっても、ケアの仕方が悪かったり、メンテナンスを怠ったりすることで、さまざまなリスクが生じます。

インプラント手術後のリスク

4.歯周病にかかる

■原因
インプラントは、天然歯よりも汚れがたまりやすい構造になっています。歯垢や歯石の堆積を放置すると、歯周病菌が繁殖し、「インプラント周囲粘膜炎」という病気を引き起こします。これは一般的な歯周病における歯肉炎です。
病態がさらに進行すると、「インプラント周囲炎」を発症します。いわゆる歯周病における歯周炎と同じように、顎の骨の破壊が始まります。

■対策
セルフケアとプロフェッショナルケアを両立させることが大切です。磨き残しのないブラッシング法を身に付け、実践します。インプラントのクリーニングを受けることで、セルフケアでは取り除けない汚れを一掃します。

▶インプラント周囲炎の詳細は「インプラント周囲炎の症状と治療・予防方法」の記事をご覧ください。

5.金属アレルギー

■原因
インプラント治療では、必ずチタン製の人工歯根を埋入します。ケースによっては、チタン製のアバットメントや金属製の上部構造を装着することもあります。チタンは金属の中でも生体親和性が高く、アレルゲンとなりにくいので、金属アレルギーを引き起こす可能性も極めて低くなっています。
ただし、金属である以上ゼロではありません。また、上部構造にメタルを用いた場合も当然、金属アレルギーのリスクが発生します。

■対策
治療を開始する前に、金属アレルギーの検査を受けましょう。肌にシールを貼り付けるパッチテストで、アレルゲンとなる金属の種類を容易に特定することができます。専門家である皮膚科で検査を受けるのがベストです。上部構造をセラミック、アバットメントをジルコニアにすると、金属アレルギーのリスクを最小限に抑えられます。

▶金属アレルギーの不安がある方は「金属アレルギーでもインプラント治療はできる?」の記事をご覧ください。

6.人工歯根が定着しない

■原因
人工歯根の埋入が上手く行っても、オッセオインテグレーション(※5)が達成されなければ、インプラント治療は失敗です。人工歯根が定着しない原因としては、術中及び術後の細菌感染、ドリリングによるオーバーヒート、定着期間に強い刺激を加えるなどが挙げられます。

※5.オッセオインテグレーション・・・チタンと骨が結合する現象

■対策
人工歯根が定着するまでには、上顎で6ヶ月程度、下顎で3ヶ月程度の期間を要します。その間は、患部に負担がかからないよう、十分注意しましょう。その他の原因については、適切なインプラントオペを実施することで取り除くことができます。

7.破損・動く・折れる

■原因
噛んだ時にインプラントが揺れ動いたり、折れたり、欠けたりするのは、ネジの緩みや咬み合わせの異常、インプラント周囲炎が原因です。

■対策
インプラントに異常が現れる前に、定期的なメンテナンスを受けることが大切です。咬み合わせの異常は、咬合調整で解消できます。ネジの緩みも定期検診で調整することが可能です。インプラント周囲炎に関しても、セルフケアとプロフェッショナルケアを両立させることで、そのリスクを低減できます。

8.金属色が透ける(前歯)

■原因
前歯にインプラントを装着した場合、歯と歯茎の境目付近に金属色が透けることがあります。これはチタン製のアバットメントが透けて見えるからです。

■対策
セラミックの一種であるジルコニア性のアバットメントを装着することで、金属色の透過を防ぐことができます。ジルコニアは強度に優れたセラミックであり、金属製のアバットメントの代わりを務めることができます。

インプラント手術にリスクがある人

以下に挙げるような持病や生活習慣をお持ちの方は、インプラント手術にリスクがあります。

インプラント手術にリスクがある人

9.骨粗しょう症

■原因
骨粗しょう症は、全身の骨密度が低下する病気です。人工歯根と顎骨を結合させるインプラント治療では、基本的にマイナスな要素となることを知っておいてください。
また、骨粗しょう症の治療薬である「BP製剤」は、BRONJ(ビスフォスフォネート関連顎骨壊死)と呼ばれる病態を引き起こすことがあるため、手術を受ける際には十分注意しなければなりません。

■対策
骨造成手術などを実施して、骨密度を上昇させます。BP製剤を服用中の方は、主治医と相談をした上で休薬を検討する必要があります。休薬するかどうかはあくまでケースバイケースなので、歯科医師と患者さんだけでは決めることはできません。

10.糖尿病

■原因
糖尿病は、末梢の血液循環を悪くさせます。歯ぐきや歯槽骨に酸素や栄養素が十分量、供給されなくなり、インプラント周囲炎の発症を促します。また、インスリンの量が減少、あるいは作用の低下によって、骨芽細胞の働きが弱まり、「オッセオインテグレーション」を妨げることがあります。

■対策
糖尿病を短期間で完治させることは困難ですが、重症度の指標となる「ヘモグロビンA1c」の値は下げることが可能です。この値を6.5以下に保つことができれば、問題なくインプラントオペを実施できます。

11.脳梗塞・心筋梗塞

■原因
脳梗塞や心筋梗塞を患った経験のある方でも、インプラントオペは受けられます。ただし、ワルファリンと呼ばれる抗凝固薬(血が固まりにくくなる薬)を服用中の方は、注意が必要です。血液がサラサラになっていることから、手術中に出血が止まりにくくなることがあります。

■対策
抗凝固薬を服用していても、状態が安定していればそのままインプラントオペを受けることができます。休薬が必要かどうかは、主治医と相談することが大切です。

12.高血圧症

■原因
高血圧症の方は、外からの刺激や緊張によって、さらに血圧が高くなるおそれがあります。局所麻酔には、アドレナリンという血圧を上昇させる成分も含まれており、ケースによっては収縮期血圧が200近くまで上昇することもあります。

■対策
血圧が高い方には、アドレナリンが含有されていない麻酔を用いることで、血圧の上昇を防ぐことができます。手術に伴う不安や緊張、恐怖症などは、笑気ガスや静脈内鎮静法で抑えられます。血圧を下げる降圧薬を服用するのもひとつの選択肢です。仮に、血圧が危険域に達したとしても、生体モニターで監視していれば、迅速に対応することができます。

13.喫煙習慣

■原因
タバコの煙には、歯周組織の血管を収縮させ、酸素や栄養素の供給を停滞させる作用があります。これは、顎の骨に人工歯根を埋め込むインプラント治療において、非常に大きな弊害となります。チタンと骨との結合を妨げるだけではなく、インプラント周囲炎のリスクも上昇させるのです。

■対策
インプラント治療を希望する人は、原則として禁煙をした方が良いといえます。喫煙習慣がある以上、インプラントを失うリスクも大きくなります。どうしても禁煙できない場合は、1日の喫煙本数を可能な限り減らすようにしましょう。

▶この他にもインプラント治療が"できない"ケースがあります。詳しくは「インプラント治療ができない15個のケース」の記事をご覧ください。

インプラント治療の歯医者の選び方

インプラント治療は、歯医者によって技術や設備に違いがあります。それだけに、歯医者選びは慎重に行う必要があります。とくに以下のポイントに気を付けると、より良い歯医者を見つけやすくなります。

治療費の安さを売りにしていない

インプラント治療でまず気になるのが「治療費」ですよね。一般的な歯科治療よりも高額になるため、できるだけ安く抑えたいと考えている方も多いかと思います。
けれども、インプラントというのは、そもそも専門性が高い治療であり、1本あたり30~35万円程度の費用はかかってしまうものなのです。それよりも極端に安い費用を売りにしている歯医者は、あまりお勧めできません。

▶安いインプラント治療は"なぜ安いのか"理由を知りたい方は「安いインプラントは避けるべき?」の記事をご覧ください。

説明が丁寧

治療内容はもちろん、治療の内訳も含め、患者さんへの説明が丁寧な歯医者は信頼できます。カウンセリングの段階で、インプラントに対する疑問や質問に快く答えてくれる歯医者を選びましょう。

必要な設備が整っている

インプラント治療には、歯科用CTや専用ソフト、オペ用の診療スペースなど、必ず必要となる設備や機材があります。それらが一通りそろっていることは、ある意味で最低条件といえます。例えば、歯科用CTが完備されておらず、レントゲン撮影のみで診断する歯医者は、選択肢から外した方が賢明といえます。

治療実績が豊富

インプラント治療は、専門性が高い治療なだけに、一朝一夕で行えるものでもありません。そこで重要となるのが治療実績です。「インプラント埋入本数○○本」という扇動的なふれこみではなく、過去の症例を画像とともに紹介してくれる歯医者は、信頼性が高いです。これまでどのような症例を経験し、どれくらい成功してきたのか、きちんと説明してもらいましょう。

▶インプラント治療が得意な歯医者さんの見つけ方は「インプラント治療で失敗しないための歯医者さんの見つけ方」の記事をご覧ください。

まとめ

このように、インプラント治療にはさまざまリスクが存在し、適切に対処しなければ失敗することもあり得ます。ですから、インプラント治療を安全かつ確実に成功させたいという方は、上述したリスクと対策を踏まえ、より良い歯医者さんを見つけることをおすすめします。

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■他のインプラント治療のコラム:https://teech.jp/column/inpurantochiryo
■インプラント治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/inpurantochiryo-interview
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▼このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています▼
【コラム執筆歯科医師の紹介】
運営サイト:「みんなの歯学」https://minna-shigaku.com
長崎大学歯学部歯学科卒業

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