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インプラント治療 2021/02/20

インプラント治療のメリット・デメリット

歯を失った際には、インプラント治療を選択する人が増えてきています。入れ歯やブリッジのような従来の治療法にはない「人工歯根」があるからです。それによって見た目や噛み心地が良くなるだけでなく、口全体の健康にも大きく寄与します。ここではそんなインプラント治療のメリット・デメリットを他の治療法と比較しながらご紹介します。

インプラントの7つのメリット

インプラント治療には、以下に挙げるようなメリットがあります。

天然歯のようにしっかり噛める

健康な歯を持っている人が食べ物をしっかり噛めるのは、顎の骨に埋まっている「歯根」が土台として機能しているからです。インプラントには、人工物ではあるものの歯根が存在していることから、硬いものでもしっかり噛むことができます。その噛み心地は限りなく天然歯に近いです。

▶天然の歯ととインプラントの具体的な違いは「天然の歯とインプラントの違いは?」の記事をご確認ください。

見た目が美しい

インプラントには、余計なパーツが付与されていません。人工歯根であるフィクスチャーと人工歯である上部構造、それらをつなぐアバットメントで連結すると、天然歯の形態に酷似しています。口腔内に設置した際も歯列内に自然と調和します。人工歯もセラミックで製作できるので、極めて美しい外観に仕上げることが可能です。

健康な歯を削る必要がない

インプラントは、口腔内に独立して設置することが可能なので、周囲の歯に頼る必要がありません。ブリッジのように両隣の歯を大きく削る必要もなければ、残存歯にクラスプを引っ掛ける必要もないのです。人工歯根が噛む力をしっかり受け止めてくれるので、天然歯に余計な負担がかかりません。

骨が痩せない

歯を失った部分というのは、経年的に痩せていく現象を抑えることができません。それはブリッジや入れ歯で補ったとしても同じです。一方、インプラント治療では、歯を失った部分に人工歯根を埋め込むことで、噛んだ時に発生す咬合圧(こうごうあつ)を顎の骨に伝えることができます。私たちの骨は、適度な刺激や圧力が伝わることで、強くなったり、太くなったりします。それと同じことが顎骨でも起こるのです。

装着感が良い

インプラントを装着して、大きな異物感や違和感が生じることはまずありません。固定式の装置なのでズレたり、外れたりすることはありませんし、歯列から逸脱する部分もないので、装着感は極めて良好です。失った歯を何も治療せず、放置しておく方が異物感や違和感も大きくなることでしょう。

発音障害が起こらない

歯科治療で、何らかの装置を口腔内に設置すると、多くのケースで発音に障害が生じます。私たちが何かの言葉を発音する際には、口唇や頬粘膜、舌などの筋肉が巧妙に運動しなければならないからです。そのため、装置が大きければ大きいほど、複雑な構造を呈しているほど、発音障害が強く現れます。その点、インプラントは天然歯とほぼ同じ構造を採っているので、発音を妨げることもないのです。

取り外す必要がない

インプラントは、固定式の補綴装置です。上部構造を取り外せるタイプのものもありますが、それは歯科医師がメンテナンスをするためのものです。原則として、患者さんはインプラントを取り外す必要はありません。日頃のケアも天然歯と同じように行うことができます。

インプラントのデメリット

インプラント治療には、以下に挙げるようなデメリットがあります。

治療費が高い

インプラント治療は、費用が高くなる傾向にあります。これはインプラント治療に保険が適用されないからです。また、使用する機材や素材が高価であり、施術を担う歯科医師にも高い技能が要求されることも、治療費の高騰に関係しています。もちろん、安価な素材を選択したり、安い価格を設定している歯科医院を選んだりすることで、費用を抑えることは可能です。

▶インプラント治療の値段の相場感は「インプラントの値段は1本いくら? 料金相場と歯医者さん選びのコツ」記事でご確認ください。

外科手術が必要

インプラント体の埋入には、必ず外科手術が必要になります。歯茎をメスで切開し、顎の骨に穴をあける処置となるため、身体にかかる負担は比較的大きくなります。歯茎を切開しないフラップレス手術などを選択できれば、その負担は軽減されます。骨量が不足していて骨造成を行う場合も、手術が必要です。

▶インプラント手術の方法を詳しく知りたいという方は「インプラント手術の方法」記事をご覧ください。

治療期間が長い

インプラント治療にかかる期間は、その他の治療法よりも長くなる傾向にあります。最短でも下顎で6ヶ月、上顎で12ヶ月はかかるものとお考えください。ただし、抜歯をしたあとすぐにインプラント体を埋め込む「即時埋入」であれば、治療期間を数週間から数ヶ月短縮させることも可能です。適応できる症例は限られていますが、選択肢のひとつとして考えておいても良いでしょう。

歯周病にかかりやすい

天然歯と比較すると、インプラントは歯周病にかかりやすいです。これは上部構造とインプラントの境目付近に汚れがたまりやすいからです。天然歯であれば、自浄作用が働くような形態となっていますが、インプラントは少し異なります。そのため「インプラント周囲粘膜炎」や「インプラント周囲炎」というインプラント独特の歯周病が存在しているのです。それぞれ一般的な歯肉炎と歯周炎に該当するものと考えください。

▶インプラント周囲炎が気になる方のために「インプラント周囲炎の症状と治療・予防策」記事で詳しい解説をしています。

感染症に弱い

天然歯が歯周病にかかっても、歯根と歯槽骨をつなぐ歯根膜組織が正常に働き、その進行を抑えるよう機能します。一方、インプラントには歯根膜が存在していません。人工歯根は直接、歯槽骨と結合しているだけなので、歯周病のような感染症にかかると、あっという間に進行します。その結果、インプラント体の脱落を招きます。

治療できないケースがある

インプラントは、誰でも受けられる治療ではありません。顎の発育を阻害するおそれがある子どもには、原則としてインプラントは適応されません。妊娠中の女性も母体や胎児への悪影響を考慮して、その他の選択肢が採られます。外科手術は、母体にとって負担が大きすぎるのです。顎の骨の量が不足していたり、骨密度が低下していたりするケースもインプラントを適応できません。ただし、骨造成を行うことで、治療が可能となることもあります。

▶インプラント治療ができないケースは「インプラント治療ができない15個のケース」の記事をご確認ください。

ブリッジのメリット・デメリットと比較

抜歯が必要になった際に選択肢と上げられるブリッジは、インプラントと比較すると以下のようなメリット・デメリットが挙げられます。

ブリッジのメリット

■治療期間が短い
ブリッジの治療期間は、インプラントよりも短いです。失った歯の本数や装置の設計などによっても変わりますが、目安としては1ヶ月半程度です。

■治療費が安い
ブリッジには保険が適用されるため、治療にかかる費用は安いです。自由診療で素材や治療法にこだわれば、それなりの金額になりますが、それでもインプラントよりは安いといえます。

■外科手術が必要ない
ブリッジによる治療では、外科手術が不要です。「大型の被せ物」のようなものなので、治療の手順としてはクラウンとほぼ変わりません。支台歯を適切な形に削って、複数の人工歯が連結された被せ物を装着します。人工歯根は存在しておらず、外科手術の必要性もありません。

ブリッジのデメリット

■噛み心地が良くない
インプラントと比較すると、ブリッジの噛み心地は良くありません。なぜなら、人工歯が存在していないからです。ただ、着脱式の装置である入れ歯と比較すると、固定式のブリッジは噛み心地に優れているといえます。

■顎の骨が痩せていく
ブリッジでは、欠損部に「ポンティック」と呼ばれる人工歯が配置されています。ポンティックは、歯冠だけの人工歯なので、顎の骨に噛む力が伝わりません。刺激を受けなくなった骨は生理現象としての吸収が起こるので、ブリッジには経年的に「顎の骨が痩せる」というデメリットがあります。

■健康な歯を削る必要がある
ブリッジの最大の欠点は、健康な歯を大幅に削らなければならないことです。欠損部の両隣の歯は、「支台歯(しだいし)」としてブリッジという大型の装置を支えてもらう必要があり、それに見合った形に整えられます。

■支台歯に大きな負担がかかる
標準的なブリッジの設計では、欠損部の両隣の歯を支台歯とし、噛んだときの圧力をそれぞれ負担することとなります。その結果、将来的に歯根破折を引き起こすこともあります。

■見た目が良くない
ブリッジは見た目が気になりにくい装置ですが、インプラントと比べると審美性が低いといえます。なぜなら、複数の人工歯が一塊となっているブリッジは、単独で装着できるインプラントよりも不自然に見える傾向があるからです。また、保険適用のブリッジでは、金属を使うことになるため、必然的に審美性は低下します。

入れ歯のメリット・デメリットと比較

ブリッジと同様に選択肢に上がるのが入れ歯です。ブリッジ同様にメリット・デメリットをご紹介します。

入れ歯のメリット

■治療期間が短い
ブリッジと同様、入れ歯の治療期間はインプラントよりも短いです。保険診療の入れ歯であれば、1~2ヶ月程度で作ることができます。自由診療になるともう少し長くなることもありますが、インプラントよりは短いです。

■治療費が安い
保険適用される入れ歯は、治療費が安いです。自由診療でどんなにこだわって製作した入れ歯でも、インプラントより高くなることはまずありません。

■外科手術が不要
当然ですが入れ歯治療に外科手術は不要です。ブリッジのように健康な歯を大きく削る必要もありません。インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つの選択肢の中では、心身への負担が最も小さい治療法といえます。

■取り外しできる
入れ歯は取り外しができる装置なので、お手入れしやすいというメリットがあります。故障した際も修理が容易です。

入れ歯のデメリット

■見た目が悪い
入れ歯には、人工歯以外にも義歯床やクラスプといったパーツが付随しています。とくに部分入れ歯に設置されるクラスプは、金属色がむき出しとなっており、見た目は良くありません。

■噛み心地が悪い
入れ歯は、残った歯にクラスプを引っ掛けたり、粘膜に吸着させたりすることで、口腔内に固定します。そのため、噛んだ時にズレたり、外れたりすることがあります。当然、噛み心地もインプラントに劣ります。

■異物感・違和感が大きい
私たちの口の中は、異物に対して敏感に反応します。砂粒ひとつ入っただけでも、気持ち悪さを感じた経験がありますよね。入れ歯のような大型の装置を装着すれば、大きな違和感が生じます。ただし、その異物感や違和感は、少しずつ慣れていくので安心してください。

■健康な歯を削る必要がある
実は入れ歯も、健康な歯をある程度削る必要があります。ブリッジほどではありませんが、維持装置を設置するために、レストシートやガイドプレーンと呼ばれるパーツ形成を行うことがあります。

■壊れやすい
入れ歯は人工歯が外れたり、義歯床が割れたりするなど、さまざまなトラブルが起こりやすいです。この点もインプラントとは大きく異なります。

■発音障害が生じやすい
天然歯列に自然と調和するインプラントと比べ、大型の補綴装置である入れ歯は、発音障害を引き起こしやすいです。

■顎の骨が痩せていく
ブリッジ同様、入れ歯も経年的に顎の骨が痩せていきます。これは装置の性質上、避けて通ることはできない現象です。

■お手入れが面倒
着脱式の装置である入れ歯は、残った歯のケアだけでなく、入れ歯独自のケアも実施しなければなりません。義歯ブラシを用いてブラッシングし、入れ歯洗浄剤を用いた化学的清掃も必須となっています。

▶インプラント・ブリッジ・入れ歯の違いは「徹底比較!インプラント・ブリッジ・入れ歯の違い」にて13項目で比較しながら解説しています。

インプラント治療経験者の声

ここでは、実際にインプラント治療を受けた方の感想などをご紹介します。

Case1(30代、女性)「折れた前歯をインプラントに」

■インプラントを検討した理由
転んだときに前歯を折ってしまい、歯の治療を受けなければならなくなりました。折れ方が悪かったので、抜歯をしてからブリッジを入れる選択肢も提示されたのですが、隣の歯を削りたくないのでインプラントにしました。また、ブリッジだと見た目に違和感が出るかもしれないと言われたので、最も仕上がりの良いインプラントを強く希望しました。

■治療前の不安
前歯はとても目立つところなので、本当にインプラントできちんと治療できるのか不安でした。歯医者さんも前歯のインプラントは奥歯よりも難易度が高いといっていました。

■手術中の痛み
手術は何の問題もなく終わりました。麻酔もしっかり効いていて、不安になることもありませんでした。痛みもありませんでした。

■手術後の経過
歯医者さんがお上手だったのか、手術後もほとんど腫れませんでした。少し痛みが出ましたが鎮痛剤を飲んで抑えました。

■手術後の調子
人工歯を入れたあとは、本物の歯と見分けがつきません。セラミックの人工歯を入れたので、色も形も本物の歯そっくりです。前歯でいろいろなものを噛み切ることもできます。

Case2(50代、男性)「奥歯のブリッジをインプラントに」

■インプラントを検討した理由
奥歯にブリッジを入れたのですが、食べ物が詰まりやすかったり、噛み心地が本物の歯と違ったりするので、インプラントを検討しました。見た目も良くなると聞いて、再治療することを決断しました。

■治療前の不安
外科手術があるのが不安でした。年齢的にも高い方なので、何かあったら怖いなという気持ちはありました。

■手術中の痛み
手術中のことはほとんど覚えていません。手術直前までは少し怖かったのですが、静脈内鎮静法を使ったので手術中の記憶はほとんどありません。半分眠っていたような状態でした。歯医者さんたちの呼びかけなどは聞こえていました。

■手術後の経過
手術後、顎が少し腫れました。痛みも出ましたが、痛み止めを飲むことで対処できました顎の腫れも4~5日で引いていきました。

■手術後の調子
インプラントを入れたところは、本当に本物の歯のようです。噛んだ時の感触も本物の歯のようで気持ちが良いです。最初のブリッジを入れて、健康な歯を削ってしまったことを後悔しています。始めからインプラントにしていれば良かったと思っています。

Case3(60代、男性)「総入れ歯をオールオン4に」

■インプラントを検討した理由
総入れ歯を使っていたのですが、しゃべっている時や食事をしている時にズレることが多く、何とかしたいと考えていました。入れ歯を何度調整しても、トラブルが改善されないので、思い切ってインプラントにしてみようと考えました。

■治療前の不安
インプラントを埋める手術では、メスやドリルを使うと聞いていたので、少し不安はありました。手術を受けるのは初めてだったので、何か起こったらどうしようと、いろいろ考えることもありました。それでも手術をしてくれる歯医者さんは、これまでにたくさんの経験をされているようだったので、すべて任せても大丈夫と考えるようになりました。

■手術中の痛み
手術は静脈内鎮静法という麻酔をかけたので、その時の記憶はほとんどありません。気付いたら手術が終わっていた感じです。意識もほとんどないような状態だったので、痛みなどを感じた記憶もありません。

■手術後の経過
上と下で合計8本のインプラントを埋めましたが、手術後に我慢できないほどの痛みが出ることはありませんでした。少し痛みが気になる時は鎮痛剤を飲みました。顎の腫れも少し出ましたが、1週間程度でおさまりました。大きな外科手術をしたにもかかわらず、意外に早く日常生活に戻れました。

■手術後の調子
総入れ歯との違いに驚かされています。入れ歯がズレるようなことはなく、本物の歯のようにしっかり噛めます。見た目もものすごくきれいです。

まとめ

このように、インプラント治療にはメリットとデメリットの両方がありますので、上述した内容を勘案した上で、治療の選択をすることが大切です。

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■他のインプラント治療のコラム:https://teech.jp/column/inpurantochiryo
■インプラント治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/inpurantochiryo-interview
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▼このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています▼
【コラム執筆歯科医師の紹介】
運営サイト:「みんなの歯学」https://minna-shigaku.com
長崎大学歯学部歯学科卒業

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