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インプラント治療 2020/09/23

インプラント治療が保険適用される条件は?

インプラント治療が保険適用される条件は?

インプラントには、その他の治療法にはないメリットが多々ありますが、費用が少し高い点がネックになっている人もいます。それはインプラント治療に保険が適用されないからです。ただ、一定の条件を満たせば保険が適用されることもあります。ここではそんなインプラント治療が保険適用外になる理由や保険適用される条件などを詳しく解説します。

そもそもインプラント治療はなぜ高いの?

インプラント治療の相場は、1本あたり35万円程度です。入れ歯やブリッジと比べると、かなり高額ですが、そもそもなぜインプラント治療は費用が高くなるのでしょうか。

保険適用されない

インプラント治療は、原則として保険が適用されません。ですから、患者さんは10割負担で治療を受けることになります。保険適用の場合の3割負担と比べると3倍以上の費用がかかるため、高額になる理由も理解できることかと思います。

材料費が高い

インプラント治療では、チタン製の人工歯根やアバットメントなどを使用します。人工歯である上部構造もセラミックなどで製作することから、材料費だけでもかなりかさんでしまいます。

必要な設備が多い

安全で正確なインプラント治療を行うためには、歯科用CTやシミュレーションソフト、感染対策が徹底された手術室などが必要となります。いずれも歯科医院側がかなりの費用を投資しなければなりません。

手術が必要

インプラント治療には必ず人工歯根を埋め込む手術を行います。手術では、それなりの人員が必要ですし、薬剤や機材も使用します。また、専門性の高い治療だけに、歯科医師の技術料も上乗せされていると考えて良いでしょう。

人工歯の作製

人工歯根を埋入し、アバットメントを装着したら、人工歯にあたる上部構造を製作します。使用する材料にもよりますが、一般の被せ物と同様に、数万円の費用がかかります。

保険診療と自由診療(自費診療)の違いは?

日本では医療を受ける際に、保険診療と自由診療のいずれかを選ぶことができます。両者の違いは以下の通りです。

保険診療

保険診療では、選択できる治療法と使用できる材料に制限があります。そうかと言って、保険診療では十分な医療が受けられないというわけではありません。病気やケガによって失われた機能や審美性を必要最低限ではありますが回復させることができます。患者さんが負担する治療費は、1~3割です。

自由診療

自由診療では、その名の通り治療法も材料も自由に選ぶことができます。インプラントのように機能性や審美性を追求することが可能です。患者さんの費用負担は10割となります。

インプラントが基本的に保険適用外になる理由

インプラント治療は基本的に保険適用外となります。その理由は以下の通りです。

インプラントが基本的に保険適用外になる理由

ブリッジなどの代替がきく

失った歯を補うのであれば、ブリッジや入れ歯でも十分その役割を果たすことができます。保険内のブリッジや入れ歯であっても、必要最低限の機能性を確保できるからです。

審美性の要素が強い

審美目的の治療は、原則的として保険適用されません。矯正治療やセラミック治療などがわかりやすい例です。もちろん、インプラントは審美性のみならず、機能性も重視した素晴らしい治療法ですが、そこまでの質を保険診療に求めることは難しいといえます。

インプラント治療はいつか保険適用になる?

保険制度というのは、日々大きく変化していきます。昨年まで先進医療だったものが保険適用されるようになることも多々あるからです。実際、インプラント治療も一部のケースで保険適用されるようになりました。ただし、インプラント治療に保険が適用される条件は、かなり限定的なものであるといえます。

インプラント治療に保険が適用される条件

インプラント治療に保険が適用される条件は、患者さん側と治療を行う施設側の両方が満たす必要があります。

インプラント治療に保険が適用される条件

患者さん側の条件

■生まれつきの病気で顎骨が欠損
先天性疾患(生まれつきの病気)で、顎の骨の1/3以上が欠損している必要があります。

■病気や交通事故による顎骨の欠損
悪性腫瘍や顎骨骨髄炎、交通事故による外傷などで、顎の骨を広範囲にわたり喪失した場合に保険が適用されます。いずれも顎骨を1/3以上喪失しており、上顎の場合は、口腔と鼻腔・副鼻腔が交通している必要があります。

医療施設側の条件

■病院に設置されている歯科・口腔外科
病院(病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つ医療機関)に設置されている歯科、口腔外科である必要があります。

■5年以上の治療経験がある常勤医師を2名以上配置
歯科、口腔外科での治療経験が5年以上、またはインプラント治療の経験が3年以上の常勤歯科医師が2名以上在籍していなければなりません。

■当直体制の整備
当直体制をとっている医療機関である必要があります。

■国指定の医療機器・医薬品の整備
国が指定している医療機器や医薬品が完備され、安全な治療を行う環境が整っていなければなりません。

インプラント治療費用・支払いを軽減するための知識

上述したように、インプラントを保険診療で受ける条件は極めて厳しいものとなっています。ですからインプラント治療は、基本的に自費診療で受けるものと考えましょう。その上で治療費や支払いを軽減する方法を検討することが大切です。

医療費控除

医療費控除とは、1年間で10万円をこえる場合、所得に所得税の一部が還付される制度です。

▶医療費控除の対象項目や計算方法は、「インプラント治療は医療費控除の対象」の記事をご覧ください。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1ヶ月に支払った医療費が一定額を超えた場合に、超過分が支給される制度です。支給の上限額等は、所得や年齢によって異なります。詳しくは加入している健康保険の保険者にお問合せください。

デンタルローン

デンタルローンとは、歯科治療にかかった費用を分割払いできるサービスです。治療費の総額が減るわけではありませんが、一度に支払う金額を抑えることができます。デンタルローンは、すべての歯科医院が導入しているわけではないので、事前に確認しておくことが大切です。

▶デンタルローンの仕組みや金利については「デンタルローンガイド」の記事をご覧ください。

インプラント治療が必要なケース

インプラント治療が必要となるケースは以下の通りです。

虫歯や歯周病による歯の喪失

虫歯や歯周病で歯を失った、または歯の保存が難しい場合にインプラント治療が必要となります。

外傷による歯の喪失

スポーツや交通事故などで外傷を負い、歯を喪失した場合にインプラント治療が必要となります。

加齢による歯の喪失

加齢で歯や歯周組織を失った場合、インプラント治療が必要となります。

機能性・審美性の改善

天然歯や人工歯の機能性や審美性を大きく改善したい場合は、インプラント治療が適しています。

ここでは、インプラント治療が必要となる4つのケースをご紹介しましたが、いずれも入れ歯やブリッジを選択することも可能です。より多くのメリットを得たいのであれば、インプラントが第一選択となります。

高額でもメリットがあるインプラント

インプラントは高額であり、治療期間も比較的長いですが、以下に挙げるようなメリットがあることから、年々その人気が高まっています。

・見た目が美しい
・天然歯のようにしっかり噛める
・顎の骨が痩せない
・他の歯を削らずに済む

▶インプラントのメリットについて詳しく知りたい方は、「インプラントのメリット・デメリット」の記事をご覧ください。

まとめ

このように、インプラント治療は一部の症例を除いて、原則的に保険適用されません。また、材料費が高く、必要となる設備も多いことから、その他の治療法と比べると費用が高額になりがちです。それでもなおインプラントの人気が高いのは、治療によってたくさんのメリットが得られるからです。

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■他のインプラント治療のコラム:https://teech.jp/column/inpurantochiryo
■インプラント治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/inpurantochiryo-interview
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▼このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています▼
【コラム執筆歯科医師の紹介】
運営サイト:「みんなの歯学」https://minna-shigaku.com
長崎大学歯学部歯学科卒業

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