インプラント治療の手術前・手術後の注意点

インプラント治療には、顎の骨に人工歯根を埋め込む処置が伴います。いわゆる「外科手術」であり、治療の前後で注意しなければならない点がいくつかあります。ここではそんなインプラント治療の注意点を手術前と手術後に分けて、わかりやすく解説します。
インプラント手術前の注意点
インプラント手術前には、以下に挙げるような点に注意しましょう。
食事
手術の前夜と手術当日の朝は、食事の量を控えめに調整しましょう。たくさん食べると歯や顎に負担がかかるだけでなく、口腔衛生状態も悪くなります。場合によっては、手術中に食物が胃から逆流して、危険な状態を招くこともあります。もちろん、手術の前後には栄養やエネルギーも必要となることから、適度に食事を摂ることは大切です。
飲酒
アルコールを摂取すると、血管が拡張して、血の巡りが良くなります。手術中に出血した際には、止血が困難となることもあり得ます。麻酔薬に関してはアルコールによって”効きにくくなる“と思っている方が多いかもしれませんが、実際は”効きやすく“なります。
これはアルコール自体に、感覚を麻痺させる効果があるためです。そうした作用は手術においてデメリットでしかありませんので、手術前の飲酒は控えるようにしましょう。
手術後の日程調整
インプラント手術の後は、患部が少なからず腫れたり、痛みが生じたりします。症状の度合いは個人差が大きく、抗炎症薬や鎮痛薬で抑えられる程度も異なりますが、手術後すぐに大切な予定を入れるのはあまりおすすめできません。手術後の日程調整は、手術前にしっかり行っておきましょう。
常用薬の停止
血が固まりにくくなる抗血栓薬などを飲んでいる人は、主治医と相談した上で服薬を停止するか、継続するか決めなければなりません。
その他、手術に悪影響を及ぼしかねない常用薬がある場合も事前に服薬の停止を検討しておくことが大切です。全身状態がきちんと管理されていれば、服薬を停止しなくて良いケースが大半となっています。
インプラント手術後の注意点:行動編
インプラント手術後には、たくさんの注意点があります。ここでは行動に関するものを簡単にご紹介します。
食事
手術後2~3日は、辛いものや熱いものなどをできるだけ避けるようにしましょう。しっかりと噛まなければならない食品もNGです。患部を刺激しない食べ物を積極的に選びましょう。おかゆやスープ、ゼリーなどがおすすめです。
運動
激しい運動は、全身の血流が良くなり、傷口から再び出血を招くこととなります。少なくとも手術後2~3日は控えてください。
入浴
入浴も運動と同様、全身の血流を良くします。傷口が開く恐れがあるため、手術後2~3日は湯船に浸かるのを控えてください。シャワー程度であれば問題ありません。
飲酒
飲酒は手術後1週間程度控えるのが望ましいです。運動や入浴以上に、腫れや出血のリスクが高まります。
喫煙
手術後は基本的に禁煙するのが望ましいです。タバコを吸うと、傷の治りが悪くなるだけでなく、インプラントも定着しにくくなります。これはタバコに含まれる物質が歯周組織の血流を悪くするためです。どうしても禁煙できない人は、節煙に努めましょう。
歯磨き
歯磨きは手術後も行わなければなりませんが、患部を刺激しないよう注意が必要です。歯磨き粉の使用もしばらくは控えてください。インプラントを埋入した部位に、歯ブラシを当ててはいけませんが、その他の部位は通常通り磨いても問題はありません。
手術してから1~3週間経過すると、縫合した糸を抜く“抜糸”が行われます。それ以降は、手術部位に対して過剰に気を使う必要もなくなります。
うがい
手術直後は、傷口が気になって何度もうがいをしたくなることかと思います。お口の中をきれいにゆすいだ方が傷の治りも早くなりそうなものですが、それは必ずしも正しい行為とはいえません。
手術直後の頻繁なうがいは、かさぶたの形成を妨げてしまうからです。軽くゆすぐ程度であれば問題ありませんが、過剰なうがいはNGです。24時間ほど経過すれば傷口の状態も落ち着きます。
薬の服用
インプラント手術後には、必ず抗菌薬等が処方されます。歯科医師の指示通りに服用しましょう。自己判断で服薬の量を調整したり、停止したりすることは絶対にしてはいけません。感染症などのリスクが高まることがあります。
インプラント手術後の注意点:症状編
インプラント手術後の症状に関しては、以下の点に注意しましょう。
痛み・腫れ
インプラント手術は、歯茎をメスで切開し、顎の骨に穴を開けてチタン製のネジを埋め込む処置であるため、術後は少なからず痛み・腫れが生じます。
これらの症状が認められたら処方薬を適宜、服用しましょう。それでも治まらないほど症状が強い場合は、歯科を受診することをおすすめします。傷口に細菌感染等が起こっているかもしれません。
出血
手術後も出血が継続している場合は、傷口が開いています。血が止まる気配がないのであれば、早急に歯科を受診しましょう。
発熱・排膿
熱が出たり、患部から膿が排泄されていたりする場合は、細菌感染が疑われます。早急に対処する必要があります。
しびれ・よだれ
術後1週間程度は、軽いしびれや感覚の麻痺、よだれが垂れるなどの症状が現れることがありますが、2~3週経過しても継続する場合は、神経の損傷などが疑われます。まずは主治医に診てもらいましょう。
まとめ
このように、インプラント手術の前後には、いろいろな注意点がありますので、事前に把握しておきましょう。何かトラブルが起きた際には、すぐに歯科を受診することが大切です。
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■インプラント治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/inpurantochiryo-interview
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▼このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています▼
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長崎大学歯学部歯学科卒業