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インプラント治療 2020/09/25

天然の歯とインプラントの違いは?

天然の歯とインプラントの違いは?

インプラントは、天然の歯に近い機能性や審美性を再現できる素晴らしい治療法です。歯を失った際には、インプラントを第一に考える人が増えている理由もよく理解できます。

ただ、インプラント治療がいくら進歩しても、天然の歯に優ることはありません。ここではそんな天然の歯とインプラントの違いをわかりやすく解説します。

歯根膜の存在

天然の歯には、顎の骨との間に「歯根膜(しこんまく)」が存在しています。歯根膜は、噛んだ時の圧力を吸収したり、コントロールしたりする役割を果たします。
私たちが普段、柔らかいものや硬いものなど、いろいろな性質の食べ物を適切な力で噛めるのは、歯根膜が存在しているからなのです。それに加えて歯根膜は、周囲の組織に血液を供給するという重要な役割も果たしています。
インプラントには、そんな歯根膜が存在していません。

線維の方向

歯を安定した状態に保つ上では、歯周組織に分布する線維(医学用語:体内の細かい組織のこと)の方向が重要となります。天然の歯は歯根面(歯の根の部分)に対して、水平な線維と垂直な線維の両方が分布しています。そのため、歯を支える力が強く、歯根面からも剥がれにくいです。

一方、インプラントには水平的な線維しか存在しておらず、過剰な圧力がかかることで歯根面から剥離しやすくなっています。

血液供給元の数

インプラントの天敵は、歯周病です。歯周組織に細菌感染が起こることで「インプラント周囲炎」を発症し、人工歯根と骨との結合が失われてしまいます。
そこで重要となるのが、免疫細胞を運ぶ血液の供給です。天然の歯は、歯茎、骨、歯根膜の3方向から血液が供給されるため、病原性の微生物と戦う力が強いです。
インプラントには歯根膜が存在しないことから、血液供給も歯茎、骨の2方向に限られます。そのため、歯周病にもかかりやすいのです。

天然の歯はインプラントより優れている

「歯根膜の有無」の違いは、天然の歯とインプラントの優劣をつける上で、非常に重要なポイントとなります。

天然の歯はインプラントより優れている

歯周病のリスク

上述したように、インプラントは天然の歯よりも明らかに歯周病のリスクが高いです。これは血液供給元の数が少ないことと、噛む力をコントロールしにくいことから、歯茎に炎症が生じやすくなっているためです。
食事の際、必要以上に強い力で噛んでいると「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」という症状が現れることがあります。これは細菌性ではない炎症を歯茎にもたらすものですが、結果的に歯周病のリスクを引き上げます。

噛み心地

インプラントは、天然の歯と同様の噛み心地が得られることで有名ですが、やはり天然の歯には敵いません。私たちは料理の食感を歯根膜という繊細なセンサーを介することで十分に堪能できるからです。
歯根膜が存在しないインプラントでは、天然の歯と同じように硬いものは噛めても、それぞれの食材が持つ独特な食感を感じ分けることは難しいです。

変化する生体への適応

私たちの歯や歯茎、歯槽骨は加齢によって変化していきます。天然の歯は生体の一器官であり、歯根膜や歯槽骨がリモデリングを繰り返す中で、大きな変化にも適応することができます。具体的には、歯並びや咬み合わせの変化、顎の骨の吸収などです。
一方、インプラントはあくまで人工物であり、生体にとっては異物以外の何物でもないので、口腔内が大きく変化する中で柔軟に適応することは難しいです。歯茎や顎の骨が痩せれば、人工歯根が露出して、最終的には脱落します。
もちろん、適切なケアを継続することで、そうした事態は避けることが可能です。

インプラントはブリッジ、入れ歯より良い?

インプラントは、天然の歯に劣りますが、ブリッジ・入れ歯には優ります。これはインプラントに「人工歯根」が存在するからです。噛んだ時の力を顎の骨に伝える歯根の存在は、人工歯の機能性を大きく向上させます。
天然の歯に近い構造を採ることで、審美性も極めて高くなります。経年的な顎骨の吸収も抑えることができ、健康面においても非常に大きなメリットのある治療法です。

▶インプラント・ブリッジ・入れ歯の特徴を詳しく知りたい方は、13項目で比較している「徹底比較!インプラント・ブリッジ・入れ歯の違い」をご覧ください。

まとめ

このように、天然の歯とインプラントには、歯根膜の有無と線維の方向、血液供給元の数という決定的な違いが存在しています。ブリッジや入れ歯よりも優れているとはいえ、やはり天然の歯には敵わないのです。

そのため、天然の歯を残せる可能性があるのなら、できる限り保存に努めることが大切です。抜歯せざるを得ない、あるいはもうすでに歯を失ってしまったのなら、インプラントを第一に考えても良いかもしれません。

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■他のインプラント治療のコラム:https://teech.jp/column/inpurantochiryo
■インプラント治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/inpurantochiryo-interview
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▼このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています▼
【コラム執筆歯科医師の紹介】
運営サイト:「みんなの歯学」https://minna-shigaku.com
長崎大学歯学部歯学科卒業

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