引っ越ししたら困る!?インプラント治療の引継ぎ
インプラントは、数ヶ月に及ぶ長い治療期間が必要となりますが、治療後もメンテナンスを継続する必要があります。そのため、インプラント治療後に引っ越しした場合は、いくつか注意しなければならない点があるのです。
とくに転院先への治療の引継ぎは必ず行うようにしましょう。ここではそんなインプラント治療後の引っ越しについてわかりやすく解説します。
引っ越し先でインプラントを診てくれないことがある
インプラント治療後に引っ越した場合、転居先の歯科医院で診療してもらえないことがあります。それは以下に挙げるような理由からです。
保証の条件に“他院での治療はNG”とある
インプラント治療には、一般的に5年保証や10年保証が付けられています。インプラントにトラブルが起こっても、定められた期間内であれば無償で修理等が受けられる制度です。
ただし、他院での治療を受けた場合は、保証の対象から外れるケースがほとんどです。 つまり、転院先でインプラントの診察を受けてしまうと、その時点で保証が受けられなくなります。もちろん、それ以降、全額自費で修理等を受けるのであれば、引っ越し先でも問題なく診てもらえるようになります。
メーカー・種類がたくさんある
インプラントを開発、提供しているメーカーは、100社以上存在しています。それぞれ異なるシステムを採用しており、ネジの形態からドライバーの種類に至るまで、メーカーによって大きく違っているのです。
引っ越し先で受診した歯科医院が“インプラント治療は行っているものの、取り扱っているシステムが全く異なる”というケースは珍しくありません。
これは歯科医師の技術や知識の問題ではなく、使用する器具の種類や操作手順が異なることから、物理的に手を加えることが不可能なのです。
▶インプラントの種類について詳しく知りたい方は「覚えておきたい!インプラントの種類」の記事をご確認ください。
治療を受けた医院にお願いする対応
インプラント治療後に引っ越しが決まったら、以下に挙げるような対応を治療を受けた医院にお願いしましょう。
転居前
引っ越しまでに時間的な余裕があり、治療を受けた歯科を訪問できる状態であれば、「紹介状」を書いてもらいましょう。紹介状には、インプラントの種類や治療経過などが記載されます。それを転院先に提出すれば、治療の引継ぎもスムーズに行えます。
転居後
引っ越しまでに時間的な余裕がなく、紹介状を書いてもらっていない場合は、治療を受けた歯科医院に連絡して以下の点を確認しましょう。
・インプラントのメーカー
・インプラントの種類(製品名・製造番号)
・インプラントの大きさ
こうした情報が得られれば、メーカー担当者が器材等を準備してくれます。もちろん、転院先が該当するインプラント治療に対応していることが必須条件となります。その他、保証内容に関しても確認しておくと良いです。
治療を受けた医院と連絡が取れない場合
引っ越しをした後、治療を受けた医院との連絡が取れない場合は、自分の力で転院先を見つけなければなりません。
埋入したインプラントに関する情報が全くない状態では、引継ぎに困ってしまう歯科医院が多いですが、中には対応できるところもあります。インプラント治療を行っていて、なおかつ診療実績が豊富な歯科医院を探しましょう。インプラント治療で必要となる歯科用CTなどの設備が整っていることも重要です。
まとめ
このように、インプラント治療後の引っ越しは、事前に準備しておくことがありますのでご注意ください。
紹介状を書いてもらうなどの準備を怠ると、転院先がなかなか見つからずに苦労することもあります。インプラントは治療後も数年、数十年にわたってメンテナンスを受けなければならないものであり、常にかかりつけ医が必要です。そのため、引っ越しが決まったらすぐに主治医に連絡することが大切です。
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■インプラント治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/inpurantochiryo-interview
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▼このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています▼
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長崎大学歯学部歯学科卒業