インプラント治療にかかる時間と期間
インプラントは、その他の治療といろいろな点で異なります。人工歯根を埋入するオペを伴うことから、治療にかかる時間や期間について気になる方も多いことでしょう。
個々の処置に関しては、それほど長い時間はかからないのですが、治療全体の期間はあくまでケースバイケースです。ここではそんなインプラント治療にかかる時間と期間についてわかりやすく解説します。
インプラント治療の流れと期間
インプラント治療は、以下のような流れで進行していきます。それぞれの通院回数および通院期間の目安も掲載します。
カウンセリング
インプラント治療に関する相談を行う場です。どのようなことに悩んでいるのか、詳しく伝えましょう。インプラントに関する疑問や不安もカウンセリングの時点で解消しておくことが望ましいです。
通院回数:1回
通院期間:1日
精密検査
インプラント治療を開始する前には、必ず精密検査が必要となります。口腔内診査やレントゲン撮影だけでなく、歯科用CTによる診断も行われます。検査結果の説明を受け、インプラント治療を受けるかどうかを決めます。
通院回数:1~2回
通院期間:2~14日程度
術前処置
虫歯や歯周病、咬み合わせの異常などがある場合は、事前に治療する必要があります。通院回数や通院期間は、お口の中の状態によって大きく異なります。とくに問題がなければ、スムーズにインプラントオペへと移行できます。
通院回数:1~4回
通院期間:1~14日程度
インプラントオペ
チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込む処置です。インプラントオペには1回法と2回法の2種類あります。その他、オールオン4や骨移植などのオペもありますが、ここでは最もポピュラーな2回法の通院回数と通院期間を掲載します。
通院回数:2~3回
通院期間:3~6ヶ月程度
上部構造の製作・装着
人工歯根の埋入とアバットメントの設置が完了したら、人工歯である上部構造の製作および装着です。型取りを行って模型を作り、セラミックやジルコニアを使った人工歯を製作します。
通院回数:3~6回
通院期間:1~3ヶ月
メンテナンス
インプラント治療が終了すると、メンテナンスへと移行します。メンテナンスの頻度は、お口の状態や歯医者さんの方針によって変わってきます。
通院回数:年に2~4回
通院期間:インプラントを装着している限り通院する必要がある
インプラント治療にかかる時間
インプラント治療の各ステップにかかる時間は以下の通りです。
1回法
インプラントの埋入とアバットメントの装着を1回の手術で行う方法です。埋入するインプラントの本数によって、手術時間も変動します。
・1本:15~20分
・2~3本:25~45分
・4~5本:50~85分
・7~10本:90~120分
2回法
インプラントを埋入する処置とアバットメントの装着を2回に分けて行う方法です。埋入するインプラントの本数によって、手術時間も変動します。
■インプラントを埋入する処置(一次手術)
・1本:10~25分
・2~3本:20~35分
・4~6本:40~75分
・7~10本:80~110分
■アバットメントを装着する処置(二次手術)
・1本:5~10分
・2~3本:15~20分
・4~6本:25~35分
・7~10本:35~60分
▶インプラント治療の1回法と2回法の詳細は「インプラント治療における1回法と2回法の違い」の記事をご確認ください。
オールオン4
4本のインプラントを埋入して、総入れ歯のような上部構造を装着する治療法です。4本のインプラントを埋め込むのにかかる時間を掲載します。
・4本の埋入時間:40~60分
▶オールオン4のメリット・デメリットは「インプラント治療のオールオン4という選択」の記事をご確認ください。
骨造成
骨造成とは、顎の骨の量が不足している場合に適応される処置です。ソケットリフトやサイナスリフト、GBRといった手術法があります。
不足している骨を薬剤などで増やす治療法です。インプラント埋入と同時に行う場合と、インプラント埋入前に行う場合とで施術にかかる時間が異なります。
■インプラント埋入と同時に実施
・ ソケットリフト:5~10分
・ サイナスリフト:10~20分
・ GBR:10~20分
■インプラント埋入前に実施
・ソケットリフト:10~20分
・サイナスリフト:30~40分
・GBR:30~40分
▶骨造成手術の詳細は「インプラント治療で骨造成手術は必要?」の記事をご確認ください。
インプラント治療以外にかかるその他の処置と時間
インプラント治療以外の処置にかかる時間は以下の通りです。
手術と同時に抜歯を行う場合
インプラントの埋入と同時に抜歯を行う場合も特別な処置が必要となるわけではありません。一般的な抜歯にかかる時間と同程度です。
抜歯処置:5~10分程度
静脈内鎮静法を受ける場合
静脈内鎮静法を行う場合、手術前と手術後それぞれ10~15分の時間を要します。手術前は静脈路を確保し、薬液を投与します。手術後は、針の撤去や意識の正常化までに多少の時間が必要となります。
静脈内鎮静法:20~30分程度
▶静脈内鎮静法や治療時の麻酔について詳しく知りたい方は「インプラント治療の痛み・不安を軽減する麻酔」の記事をご確認ください。
まとめ
このように、インプラント治療にかかる時間と期間は、治療法や埋入するインプラントの本数によってさまざまです。ここでご紹介したのはあくまで一般例ですので、さらに詳しく知りたい方は歯医者さんに相談しましょう。
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■他のインプラント治療のコラム:https://teech.jp/column/inpurantochiryo
■インプラント治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/inpurantochiryo-interview
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▼このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています▼
【コラム執筆歯科医師の紹介】
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長崎大学歯学部歯学科卒業