小児向けマウスピース矯正「Smartee Kinder」とは?成長期の治療メリットと流れを解説
お子様の歯並びや噛み合わせに不安を感じたことはありませんか?
近年では、将来的な歯並びの乱れを未然に防ぐことを目的とした予防的歯科矯正治療が注目されています。その中でも、成長期の発育を活かして顎の成長や口腔習癖の改善までサポートできる「Smartee Kinder(スマーティーキンダー)」は、多くの保護者から関心を集めています。
従来のワイヤー矯正とは異なり、透明なマウスピースを使用し、自然な成長を妨げずに歯並びを整えることができるのが特徴です。
本記事では、Smartee Kinderの仕組みや対象年齢、治療の流れ、メリット・注意点までを詳しく解説します。「いつから矯正を始めたらいいの?」「お子様が嫌がらない矯正方法はある?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
Smartee Kinderとは
Smartee Kinderとは、近年注目されているマウスピース矯正「スマーティー」シリーズの1つで、乳歯期から混合歯列期にかけてのお子様を対象とした矯正装置です。成長期の口内環境に対応するように設計されており、自然な成長を促しながら歯並びを整えられるとされています。
定期的に新しいマウスピースに交換しながら、段階的に矯正を進めていきます。交換のタイミングは症例によって異なりますが、5~7日ごとに交換するのが一般的です。ただ歯を動かすだけではなく、口呼吸など、将来に悪影響を及ぼす可能性のある習慣にもアプローチできる点が大きな強みです。
お子様の成長を考慮して治療を進められるため、多くの保護者から支持を集めています。
Smartee Kinderの対象年齢
Smartee Kinderは、10歳前後までの成長期のお子様を対象としたマウスピース型矯正装置です。乳歯と永久歯が混ざって生えている混合歯列期にあたるこの時期は、顎の成長が活発に進む大切な時期です。将来の歯並びや噛み合わせを整えるために、早い段階から正しい位置へ歯を導くことができます。
このタイミングで矯正治療を始めることで、歯並びだけではなく、顎の発育や口腔習癖の改善にも効果的にアプローチすることができるといわれています。特に、口呼吸や指しゃぶりなどの癖がある場合は、早めの介入が将来的な問題を予防するカギとなります。
また、Smartee Kinderは永久歯が生える前(乳歯期)から使用できるため、「矯正は永久歯がそろってから」と考えていた保護者にとって、新たな選択肢となるでしょう。いつから矯正を始めるべきかは個人差があり、歯科医師の診断によって異なりますので、気になる場合は早めの相談が推奨されます。
小さいうちから矯正治療を受けるメリット
歯の矯正というと、永久歯が生えそろった中高生や大人が受けるものと思われがちですが、実は小さいうちから矯正を始めることで得られるメリットはたくさんあります。
特に、成長期の自然な発育を活かして無理なく歯や顎のバランスを整えられる点は、大人の矯正にはない大きな特徴です。
小児期の矯正では、歯並びだけでなく上顎の成長や顔立ちのバランスにも良い影響を与えることができます。
顎の成長を正しい方向へ導くことで、口元の突出感や噛み合わせのズレを予防し、将来的に美しい横顔や整った輪郭を形成しやすくなります。
また、口呼吸や舌癖、噛み合わせのズレといった、将来のトラブルにつながる習癖や機能の改善も同時に行えます。
これにより、思春期以降に必要となる本格的な矯正の負担を軽減、または回避できるケースも少なくありません。
さらに、小さいうちから歯医者に通うことで治療への不安が減り、予防意識も自然と高まります。
見た目だけでなく、発音や食事のしやすさ、顔全体のバランスといった機能面でも良い影響があり、長期的に心身の健やかな成長につながります。
Smartee Kinderのメリット
Smartee Kinderは、お子様の成長に寄り添った設計がなされているため、他の矯正法とは異なるさまざまなメリットがあります。単に歯並びを整えるだけではなく、発育段階でしか得られない治療効果を引き出すことができるのが大きな特徴です。
ここでは、Smartee Kinderを活用することで得られる代表的なメリットを紹介します。どのような効果が期待できるのかを理解しておくことで、お子様に合った矯正治療の選択がしやすくなるでしょう。
顎の発育サポートや口腔習癖の改善ができる
Smartee Kinderの大きな特徴のひとつが、歯列の矯正だけではなく、顎の発育をサポートできる点にあります。小児期の骨格は柔軟で成長の余地が大きいため、この時期に適切な力をかけることで、顎のバランスを整えたり将来的な噛み合わせのズレを防いだりすることが可能です。
また、Smartee Kinderは、口呼吸や舌の突出癖、指しゃぶりといった口腔習癖の改善にも効果的です。これらの習癖は歯並びだけでなく、顔貌や発音、姿勢にまで悪影響を及ぼすことがあります。専用のトレーニング機能を取り入れた装置を用いることで、無意識に繰り返す癖を改善できます。
将来の本格矯正を避けられる
Smartee Kinderによる早期の矯正治療は、将来的に本格的な矯正治療を回避できる可能性があります。これは、成長期に顎のバランスや歯の生えるスペースを確保することで、永久歯が自然にきれいに並ぶよう導くことができるからです。
本格矯正が必要になる原因の多くは、顎の成長不足やスペース不足によるものですが、小児期の段階でこれらに対応できれば、そもそも歯を大きく動かす必要がなくなるケースも少なくありません。結果として、治療期間が短くなったり、費用を抑えられたりといった利点もあります。
また、早期治療によって噛み合わせの問題が改善されることで、将来的な虫歯や歯周病のリスクも軽減され、長期的な口腔内の健康維持にもつながります。見た目の美しさだけではなく、機能的な健康も考慮できる点が、Smartee Kinderの大きな価値といえるでしょう。
モチベーションを維持しやすい
マウスピースによるによる定期的なサポート体制も整っており、お子様自身が達成感を持ちながら取り組むことができます。
こうした、無理なく続けられる環境が整っていることが、Smartee Kinderの高い治療継続率につながっているのです。
ただし、小学校などで昼食後に歯磨きをする場合は手間に感じたり、外して紛失したりする可能性もあります。また、お子様だけで装着時間を管理することが難しいため、時間をチェックするなど、保護者のサポートも必要になるでしょう。保定期間を含め、矯正が完了するまでは家族で協力することが大切です。
Smartee Kinderの治療の流れ
Smartee Kinderの治療は、お子様の成長や歯の発育に合わせて段階的に進められます。治療を無理なく、かつ効果的に進めるために、以下のような流れで進行するのが一般的です。
カウンセリングと検査
はじめに、カウンセリングと検査が行われます。この段階で、顎の大きさや歯列、口腔習癖の有無、呼吸や舌の使い方などが多角的にチェックされます。問題点を明確にしたうえで、Smartee Kinderによる矯正が可能かどうかを判断します。
治療プランの説明と装置の作成
次に、治療プランの説明と装置の作成に進みます。お子様の口腔状態に合わせてマウスピースが作られます。また、装着し始める前に装着方法や使用時間についての指導が行われます。
マウスピースの装着
マウスピースが完成したらいよいよ装着、矯正開始です。初めて装着する際は、違和感がないかなどを医師が確認しながら行います。基本的には、就寝時を中心に1日数時間の装着が必要です。5日を目安に、新しいマウスピースに交換しながら、段階的に進めていきます。
治療中は、歯の動きをより正確にコントロールするために、歯の表面に小さな突起状のアタッチメントを付けることがあります。これは歯と同じ色の樹脂で作られており、見た目もほとんど目立ちません。マウスピースがしっかりフィットし、歯を計画通りに動かすために重要な役割を果たします。
治療開始後は、1〜2か月ごとの通院で経過を確認しながら、必要に応じて装置の調整や交換を行います。通院の際には、歯の動きだけではなく、舌の位置や口呼吸の改善状況なども確認されます。治療期間は平均して1〜2年程度が目安ですが、個人差があります。
保定期間
マウスピースによる歯の移動が完了した後は、保定期間に入ります。これは、せっかく整った歯並びが元に戻らないようにするための重要なステップです。成長期は骨格の変化が続くため、歯の位置も安定しづらい傾向があります。そのため、保定期間中にしっかりと保定装置を装着することが求められます。
保定装置も透明なマウスピース型であることが多く、見た目の違和感も少なく日常生活に支障をきたしにくい設計となっています。装着時間や期間は個人差がありますが、基本的には1日20時間以上装着することが一般的です。定期的に歯科医院で経過観察を行い、問題がないかを確認していきます。
この保定期間をきちんと守ることで、長期的にきれいな歯並びを維持することが可能になります。治療が終わったと油断せず、最後まで責任を持って取り組むことが大切です。
Smartee Kinderの治療における注意点
Smartee Kinderは、成長に合わせて柔軟に対応できる矯正法ですが、効果を最大限に引き出すためにはいくつかの注意点があります。これらを理解したうえで取り組むことが、スムーズな治療と良好な結果につながります。
装着時間を守る
矯正治療を成功させるためには、装置の装着時間を守ることが重要です。推奨された装着時間を守らなければ、十分な治療効果が得られないことがあります。お子様が装着を嫌がるケースもあるため、保護者のサポートが不可欠です。
歯を磨いてから再装着する
Smartee Kinderによる矯正治療を効果的に進めるためには、日常生活でのちょっとした習慣にも気を配ることも大切です。食事の際にはマウスピースを外す必要がありますが、食後は必ず歯を磨いてから再装着するようにしましょう。装着したままジュースやお茶を飲むと、着色や虫歯の原因になるため、注意が必要です。装着したまま飲める物は水のみです。
マウスピースを紛失・破損しない
学校や外出先で外した際に、そのまま装着を忘れてしまったり紛失したりするケースもよく見られます。専用ケースを持ち歩き、外した際には必ず、収納し、歯を磨いてから再装着する習慣をつけましょう。
毎日のお手入れを欠かさず行う
マウスピースは毎日のお手入れも欠かせません。歯磨きの際に水や中性洗剤で洗浄し、熱湯は使用しないようにしましょう。これは、熱や強い洗浄剤を使用すると、変形したり劣化したりするおそれがあるためです。
定期的な通院を怠らない
次に、定期的な通院を怠らないことも大切です。治療の進行状況を正しく把握し、必要に応じて装置の調整を行うことで、無理なく目標に近づけるようになります。通院の間隔が空くと、装置の効果が薄れたり計画通りに治療が進まなくなったりするおそれがあります。
他のトレーニングや生活習慣も見直す
Smartee Kinderは、歯並びだけでなく舌癖や口呼吸などの問題にも対応できる矯正方法です。
そのため、装置の使用に加えて、あわせて行うトレーニングや生活習慣の見直しも重要です。このトレーニングとは、具体的には「チューイング(噛む練習)」や「MFT(口周りの筋肉のトレーニング)」などが挙げられます。
毎日の積み重ねが結果を左右するため、家族で協力しながら治療に取り組む姿勢が大切です。
Smartee Kinderには、こうしたトレーニングをサポートする専用の補助パーツや付属アイテムも用意されており、装置とあわせて活用することで、より効果的に機能改善を進めることができます。
これらのポイントを意識することで、清潔で安全に治療を続けることができます。
まとめ
Smartee Kinderは、お子様の成長を活かして歯並びや顎の発育を整えることができる、新しい小児矯正治療の選択肢です。取り外し可能で目立ちにくい装置を使いながら、口呼吸や舌癖などの改善も期待でき、将来的な本格矯正の回避にもつながります。
早期に適切なアプローチを行うことで、お子様の健やかな口腔環境を整え、機能面・見た目の両方において望ましい結果を導くことができます。治療の成功には装着時間の管理や通院の継続、日常のサポートが欠かせませんが、保護者とお子様が協力して取り組むことで、無理なく前向きに進められる治療法といえるでしょう。
なお、マウスピース矯正にはさまざまな種類があり、それぞれ対象年齢や治療方法が異なります。詳しくは、歯科医院で実際の治療方針や適応について相談してみましょう。
スマーティー(Smartee)については「今話題のマウスピース矯正スマーティーとは?インビザラインとの違いも解説」にて詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
※Smartee Kinderは日本国内では薬事未承認の医療機器であるため、歯科医師に相談してから使用するようにしましょう。