歯の神経の治療(根管治療)ってどうやるの?どれくらい治療期間がかかるの?
虫歯が進行すると「根管治療(こんかんちりょう)」と呼ばれる歯の神経の処置が必要となる確率が高まります。根管治療に関しては「長い時間がかかる」「再発のリスクがある」など、マイナスな話をよく耳にすることかと思います。ここではそんな根管治療の内容や適応症、治療に要する期間などについてわかりやすく解説します。
▼根管治療の適応症
根管治療が適応される症例は、基本的に歯の神経が病気となっています。最もわかりやすいのが虫歯で、歯の神経にまで虫歯菌が侵入した症例では、根管治療が適応されます。
▼歯の神経をきれいに抜き取る
根管治療は病気となってしまった歯髄とその原因である細菌をお掃除することが目的です。根管治療の必要性は検査を行い判断しますが、刺激を加えなくても痛い「自発痛」がある場合には必ず根管治療が必要となります。
▼根管内の汚染物質を一掃する
根管治療の主な目的は、根管内の細菌を可能な限り消毒することです。
細菌を完全に死滅させなくても数を一定数まで減らすことができれば病気は自然と治ります。お口の中は細菌だらけですので清潔な治療環境を確保する事がとても大切です。その為にもラバーダム防湿の使用は治療の大原則になります。
根管治療は医院によっては長い時間がかかるようですが治療中の仮蓋は細菌が中に入る可能性もあるため一回の治療時間を長くし、治療期間を短くする方が理想的です。
▶ラバーダムの重要性については「歯の神経の治療(根管治療)でゴムのシート(ラバーダム)つけて治療しているのはなぜ?」のコラム記事や「きちんとした根管治療を行ってくれる歯科医院のポイント」の歯科医師インタビュー記事をご確認ください。
▼治療期間について
根管治療の通院回数は一般歯科医院であれば前歯で2~3回、奥歯で4回~5回程度が目安です。奥歯は前歯よりも根管の数が多い為おのずと治療回数は増えます。
根管治療の専門医であれば前歯は1-2回、奥歯で2-3回になります。専門医の場合は根管治療の専門教育を受けている為より効率よく治療を行える他、一般歯科医院の治療時間の目安が15分ー30分であるのに対し、専門医は90分程度の場合が多いです。ただ、専門医は保険外診療の場合も多いですので予め受診前に確認をとると良いでしょう。
▼再発したら歯を失うことに?
根管治療は歯にとってとても負担の大きな治療のため、何度もやり直しがきく治療ではありません。
根管治療の途中で通院をやめてしまった場合には抜歯になってしまうケースも少なくありません。治療期間が長いからといって途中で通院をやめてしまうようなことだけは避けましょう。それはお口全体の健康にとって非常にリスキーな行為であるといえます。
▼まとめ
単に根管治療といっても根管が一つの前歯と複雑に入り組んでいる奥歯ではその難易度が全く違います。
また感染根管治療とよばれるやり直しの治療はより難易度が増すとされています。例えば奥歯でやり直しの治療など最も難易度が高いケースでは積極的に専門医の受診をご検討いただいてもよろしいかと思います。
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■他の根管治療のコラム:https://teech.jp/column/konkanchiryo
■根管治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/konkanchiryo-interview
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【コラム執筆歯科医師・監修歯科医師】
初台 はまだ歯科・矯正歯科 院長 濱田泰子先生
▼医院について
Teech掲載ページ:https://teech.jp/hospital/19711
医院ホームページ:https://www.hamada-dc.com/
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-2-5 初台AIビル2F
▼経歴
2005年 日本歯科大学 歯学部 歯学科卒業
2010年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 博士課程修了
2010年 焼津市立総合病院 歯科口腔外科
2014年 はまだ歯科医院 開院
2016年 PESCJ第7期生として、根管治療を専門に1年間履修(その後、認定医を取得)
2021年 病院名を初台 はまだ歯科・矯正歯科に変更
▼資格
PESCJ認定医
※PESCJについて:ペンシルバニア大学歯内療法学科(根管治療)の臨床コンセプトとテクニックを広く伝えることを主な活動として、2009年に設立したスタディークラブです。
▼共著
『世界基準の臨床歯内療法 第2版』
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【コラム執筆歯科医師】
運営サイト:「みんなの歯学」https://minna-shigaku.com
長崎大学歯学部歯学科卒業