歯の神経を抜いても歯を残した方がいいの?
虫歯というのは、一種の感染症なのですが、風邪のように自然に治ることはありません。治療を受けずに放置すると、病気の状態がどんどん進行して、やがては歯の神経にまで感染が広がります。そうした場合に神経を抜く処置を実施するのですが、果たしてそこまでして歯を残す価値があるのか疑問に思いますよね。ここではそんな歯の神経を抜く意味についてわかりやすく解説します。
▼そもそもなぜ歯の神経を抜くのか
虫歯で痛みが生じる理由は、外からの刺激が歯の神経へと伝わるからです。歯の神経は、鋭い痛みや鈍い痛みなど、いろいろな種類の痛みを感じ取ることができるため、虫歯になるとさまざまな症状を引き起こします。ですから、そうした痛みを感じなくさせるという意味でも、歯の神経は抜いた方が良いといえるのです。
▼歯の神経を抜かないとどうなる?
進行した虫歯で歯の神経を抜かずに放置すると、当然、強い「歯痛」に悩まされることになります。また、細菌感染が歯の内部全体に広がるだけではなく、根っこの先から汚染物質が漏れて、歯茎や顎の骨にまで炎症を引き起こしてしまうのです。それなら、できるだけ早期に歯の神経を抜く処置を施した方が良いですよね。もしくは抜歯をするという選択肢もないわけではありません。
▼天然の歯はかけがえのないもの
重症化した虫歯では、抜歯という選択肢を選ぶ前に、必ず抜髄(ばつずい)や根管治療(こんかんちりょう)という選択肢を検討します。なぜなら、歯を抜くという行為は、その他に選択肢が残されていない場合にとるべきものだからです。歯は、一度失ってしまうともう二度と元には戻りません。それが例え、歯根だけしか残っていなかったとしても、頑張って残す価値は十分にあるといえます。
▼インプラントも天然歯にはかなわない
例えば、数週間から数ヶ月かかる根管治療を行うくらいなら、インプラントを埋入してしまった方が早いのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。確かに、インプラントには、その他の治療法にはない「人工歯根」が存在していますし、絶対に虫歯にならないセラミック製の人工歯も装着することが可能です。それでもやはり、噛み心地や見た目の美しさなどは、天然歯の方が優っています。それだけに、神経を抜いてでも歯を残した方が賢明といえるのです。
▼まとめ
このように、歯の神経を抜くということは、歯そのもの命がなくなってしまうように思われがちですが、大切な歯質はきちんと残すことができます。そうして残した天然歯は、その後のケアによっては一生涯使い続けることも可能なのです。それくらい歯の神経を抜く処置や歯の根っこの治療(根管治療)というのは重要といえるのです。
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(このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています)
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長崎大学歯学部歯学科卒業