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神経の治療(根管治療) 2021/01/26

根管治療(歯の神経の治療)の方法と流れ

歯根には、歯髄と呼ばれる神経や血管からなる結合組織で満たされた“根管”という空洞があります。この“根管”を無菌化し、再感染が起こらないように薬剤を充填する方法が根管治療です。今回は、根管治療の方法と流れについてご説明いたします。

根管治療をするケース

根管治療が必要となる可能性があるケースをご紹介いたします。

神経におよぶ感染

根管治療が必要となるケースで多いのが、神経まで虫歯が進行した場合です。虫歯の他に、歯周病由来で神経が感染した場合にも根管治療を行います。 生活歯(神経が生きている歯)の場合、神経に感染が近接している場合や、感染が起きている場合には、強い痛みを生じます。
歯髄炎の1種である急性化膿性歯髄炎では、拍動性(ズキズキ)の痛みがあり、夜間痛が発生します。痛くて眠れなかったと表現する方が多いです。

歯髄壊死

歯髄炎を放置していると、神経が壊死してしまいます。また、外傷により歯を強打した場合にも、歯の神経が死んでしまうことがあります。歯の神経が壊死すると、これまで痛かった歯の痛みが無くなり、歯の色が黒ずむなどの症状が現れます。

根尖性歯周炎

歯根の先に炎症が波及して、歯を支えている顎の骨を溶かしている状態を根尖性歯周炎と言います。この場合は歯の神経が失活(死ぬ)し、自然治癒は不可能なため、根管治療を行い感染を除去することが必要です。

瘻孔(ろうこう)

根尖性歯周炎の一症状で、歯根の先に膿が溜ります。歯肉に小さな孔(=穴)を形成し、膿が口腔内に流出している状態を瘻孔と言います。根管治療を行うことで、歯肉にできた孔はふさがるのでご安心ください。

根管治療の流れ

具体的な根管治療の流れについてご説明します。人それぞれのお口の状況によって、各処置にかかる回数が異なります。根管治療は回数と時間がかかりますが、継続して行うことが大切です。治療は基本的に以下の順で行います。

 

1.歯の周りを清潔にする

処置する歯の周りをきれいに清掃し、プラークの除去を行います。 続いて、ラバーダムというゴムのシートをかけることで清潔操作の精度が上がります。

2.感染歯質の除去

虫歯が原因の場合、検知液や歯質の質感、色調から判断し、感染している歯質を除去します。

3.歯髄除去

歯を真上から削って穴を開けます。 残った歯髄の炎症を防ぐため、根管内にある神経を完全に除去することが必要です。

4.根管拡大

感染した歯髄や歯質を完全に除去することや、薬剤を充填しやすくすることを目的に、根管内を拡大することを根管拡大と呼びます。

5.根管洗浄

根管拡大により、根管内に充満した切削片を除去するために薬剤を使って洗浄、消毒します。

6.貼薬

根管内に薬を塗って1度目の治療が終了です。 歯に空いた穴は、セメントや仮歯で保護します。

7.根管充填

根管拡大が完了し、症状が改善した場合、最終的な薬剤を充填する根管充填というステップに移ります。

8.仮詰

根管充填が完了したら、緊密に充填剤が歯根内を満たしているか、根尖から流出していないかなどをレントゲン撮影で確認します。

9.歯の土台づくり

根管充填まで完了し、問題がなければ、歯の被せ物の治療に移行するため、土台(コア)を作る治療に移行します。

ラバーダムとマイクロスコープの必要性

多くの手順が必要な根管治療の成功には、“無菌化した処置”と“精密な治療”が必須です。そこで、有効なのが以下の2点の器材です。

ラバーダム防湿

ラバーダム防湿とは、治療する歯に唾液や呼気がかからないように、薄いゴム製のシートを使って、治療する歯以外を覆う方法です。唾液の流入を防止できるため、無菌化した処置には必須のアイテムです。

マイクロスコープの必要性

マイクロスコープを使うことで、小さな根管を拡大してみることができ、治療精度が向上します。0.1㎜の大きさも確認できるため、歯根に入った亀裂を見落とさず、歯根破折の診断にも優れています。歯科医院20件に1台程度の導入割合と言われており、マイクロスコープを導入している歯科医院は、より精密な根管治療の提供に熱心であると言えます。

根管治療後のケア

根管治療は、回数や時間、費用がかかる治療です。せっかく、根管治療を完了しても、再発したらやり直しです。根管治療が完了したら良好な状態をキープするように心がけましょう。

根管治療は再発しやすい

根管治療を行った歯は、残念ながら感染を再発しやすいです。なぜなら、特に保険診療内で行った治療では、無菌化した処置や精密な治療が不十分なことが多いからです。再発すると、神経を抜いた歯が痛い、歯肉を押すと痛い、咬むと違和感があるといった症状が現れます。

再発防止にできること

再発の防止に大切なことは、再感染を起こさないことです。そのためには、定期健診が有効です。根管治療完了後には、被せ物の治療を行いますが、被せ物の適合や、被せ物周囲の清掃状態が悪くなると虫歯や歯周病のリスクがあがります。口腔清掃状態の不良は、再感染のリスクを上昇します。3か月に1度の頻度で定期健診を受診することが理想的です。

根管治療が得意な歯医者の見つけ方

根管治療には、無菌化した処置と精密な技術が必要です。これらの条件をそろえた歯科医師による治療は、再発のリスクが低いことが期待できます。

ホームページの歯科医師紹介

多くの歯科医院が、自院の情報をホームページ上で公開しています。その際に、歯科医師のプロフィール欄などに、専門医の取得や所属している学会を記載しています。 根管治療の上手な歯科医師は、日本歯科保存学会や、日本歯内療法学会などに所属し専門医取得することに熱心です。

診療態勢・環境

治療の回数や時間がかかる根管治療は、薬剤や器具が多く煩雑な手順を含みます。そのため、限られた診療時間であればあるほど、無菌化処置などが疎かになりがちです。 ラバーダム防湿を行い、マイクロスコープなどの機器の導入に熱心な歯科医師がお勧めです。1つの目安として、自費診療の根管治療を提供している歯科医院は、診療態勢や環境が優れていると言えます。

コミュニケーション

特に、再発した根管治療の場合には、“なぜまた治療するんだろう・・・”と、患者様もご不安になるのではないでしょうか。疑問や不安について真摯に対応してくれる歯科医師を選ぶことは、安心して治療を継続するためのポイントの1つです。

▶根管治療が得意な歯科医師が「きちんとした根管治療を行ってくれる歯科医院のポイント」を提示してくれているので、歯科医院選びの参考にしてください。

健康な歯が根管治療する状態にならないための予防策

虫歯や歯周病が進行すると根管治療が必要となる可能性があります。大切なことは、歯や歯肉の健康を維持・向上することです。

セルフケア

毎日のセルフケアの際、歯ブラシの他に、デンタルフロスや歯間ブラシ、洗口液の使用を追加してみましょう。プラーク(歯垢)の除去率が格段にアップします。

定期健診

セルフケアの他に、定期健診の併用が有効です。定期健診では、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療の他に、ブラッシング指導など、よりセルフケアを向上する方法を伝授してもらえます。

2次カリエス(虫歯)の予防

根管治療を行った歯には、被せ物をセットすることが多いです。被せ物はセメントで合着していますが、セメントや被せ物表面の経年劣化により、被せ物直下に虫歯ができる“2次カリエス”に注意が必要です。重点的なブラッシングと、定期健診で予防しましょう。

▶虫歯、歯周病にならないための予防策は「予防歯科のメリットとケア方法」の記事をご覧ください。

まとめ

根管治療の流れについてご理解いただけたでしょうか?進行した虫歯や歯周病では、根管治療が必要となる可能性があります。根管治療は、時間や費用がかかる割に、再発のリスクが高い治療です。根管治療にならないためには、お口の健康の向上が大切です。定期的な歯科受診により、治療や予防に努めましょう。

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■他の根管治療のコラム:https://teech.jp/column/konkanchiryo
■根管治療の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/konkanchiryo-interview
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【コラム執筆・監修者の紹介】 
木坂里子
東京医科歯科大学卒業 現役歯科医師として勤務

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