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予防治療 2020/09/25

予防歯科のメリットとケア方法

予防歯科のメリットとケア方法

「歯は“悪くなったら治す”」という考えは理にかなっているようにみえて、実は多くの矛盾を抱えています。虫歯を“治すこと”を例にとっても、これは虫歯になる前の状態に戻すわけではなく、実際は悪くなった歯質を削って人工物を補っているのに過ぎません。治すことを繰り返せばそれだけ歯質は失われ、やがてその歯の寿命そのものを奪ってしまいます。

本当の意味で自身の歯を守るためには、なにより“虫歯や歯周病にならないこと”が先決です。ここでは予防歯科の目的やメリット、さらにその具体的な方法などをご紹介していきます。

予防歯科とは

予防歯科とは、歯が悪くなってから治すのではなく、悪くなる前に虫歯や歯周病を予防し、自身の歯を守る取り組みのことです。予防歯科のベースは、毎日ご家庭で行う「セルフケア」と、数カ月ごとに歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」の2つのケアから成り立ちます。

最大の目的は「自分の歯を残すこと」

予防歯科の最大の目的は、生涯で1本でも多く自分の歯を残すことです。歯を失う原因のうち、虫歯と歯周病は全体の約7割を占めています。これら歯科2大疾患を予防することは、単に痛みや腫れといったトラブルを回避するだけでなく、一生を通じて自分の歯を維持することにつながります。

自分の歯が多い人ほど「健康寿命」が長くなる

平均寿命が男女とも80歳を超える日本では、高齢になっても医療や介護に頼らず、自立した生活をおくる「健康寿命」を延ばすことが今後の大きな課題です。
この健康寿命は生涯に残る歯の本数との関係が深く、自分の歯で食べ物を噛める人は栄養状態が良好で、生活の質(QOL)も高いことがわかっています。

さらに上下の歯でしっかり噛むことは脳の認知機能にも良い影響を及ぼすほか、転倒によるケガのリスクも軽減します。
以上のように、一生を通じて自分の歯を維持することは、要介護のきっかけとなる病気やケガの予防にも大きく貢献しています。

▶参考資料:テーマパーク8020「現在歯数と健康寿命」

お口の病気は体の病気とも無縁ではない

虫歯と歯周病は口内に限定した病気ではなく、全身の病気の発症や進行にも影響を及ぼします。たとえば高齢者に多い誤嚥性肺炎は、口内に増殖した細菌が肺に侵入して発症する病気として知られています。
また、歯周病については近年、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー病などの病気に直接関与することが指摘されています。このような全身の病気を予防するうえでも、予防歯科でお口の健康を維持することは非常に重要です。

予防歯科のメリット

予防歯科には次のようなメリットがあります。

予防歯科のメリット

虫歯・歯周病を未然に防ぐ

虫歯や歯周病の原因となる細菌は人間の体内に住みつく“常在菌”の一種であるため、人が生きていくなかでその数を“ゼロ”にすることは困難です。
一方でこれらの細菌は口内に一定の条件が揃わないかぎり、病気を発症することはありません。予防歯科における口腔ケアには、お口の中の細菌数をコントロールするだけでなく、虫歯・歯周病になりにくい口内環境を作る効果があります。

治療時の痛みを軽くする

歯科医院での継続的なメンテナンスは虫歯や歯周病を予防するだけでなく、これらの病気を早期に発見し、治療を最小限に止めることを可能にします。
虫歯と歯周病はいずれも早い段階で治療するほうが痛みなどの負担が少なく、また治療にかかる時間も短縮されます。

将来にかかる医療費を抑える

病気は”予防が一番だ“と理解できても、「どこも悪くないのにお金をかける」という点に疑問を抱く方は少なくありません。しかし虫歯や歯周病は重度になるほど治療にかかる費用や期間は増大し、肉体的・経済的負担が大きくなります。
さらに残存歯数と医科医療費の関連を調べた調査では、自分の歯を多く残している人ほど年間にかかる医科医療費が少ないというデータも示されています。このように予防歯科でお口の健康を維持することは、将来にかかる歯科・医科の双方の医療費の削減にもつながります。

▶参考資料:日本歯科医師会「生活歯援プログラム」

歯医者さんで行う「プロフェッショナルケア」

歯科医院の予防歯科では、種々の検査結果から現在のお口の状況や将来に起こりうるリスクを評価し、それに応じたプロフェッショナルケアを実施します。さらに定期的なメンテナンスを継続して行うほか、必要に応じて最小限の治療を行っていきます。

歯医者さんで行う「プロフェッショナルケア」

検査・診断

虫歯や歯周病はお口の状態(細菌の数や種類/歯並び/歯や唾液の性質など)や年齢、生活習慣などによって「病気のなりやすさ」が異なります。したがってはじめに各種検査を行い、現在の虫歯・歯周病のリスク(危険度)を診断したうえで、一人ひとりに最も効果的な予防プログラムを作成していきます。

プロフェッショナルケアの種類

プロフェショナルケアでは専用の機器や薬剤を用いながら、口内に残っている細菌の除去や歯質の強化を行っていきます。

■PMTC
PMTCとは、セルフケアでは落とせない歯面の汚れや「バイオフィルム」の除去を目的とした専門クリーニングのことです。お口の中の細菌は「プラーク」と呼ばれる集合体を作り、さらに表面を「バイオフィルム」という膜で覆って生息しています。
このバイオフィルムは歯ブラシや薬剤の力では取り除けないため、細菌たちにとって自身を守る強力なバリアとなります。PMTCでは専用の機器でこのバイオフィルムを歯面から剥しとり、さらに表面を滑らかに仕上げることで新たな汚れや細菌の付着を防いでいきます。

■スケーリング
スケーリングでは「超音波スケーラー」や「手用スケーラー」などの専用器具を使用しながら、歯の表面に付着した歯石を除去します。
歯石はプラークが唾液の成分によって石のように硬くなったもので、ザラザラとした表面に細菌が付着しやすく、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
プラークが歯石に変化してしまうと歯ブラシでは落とせないため、このような専門クリーニングが必要となります。

■3DS(デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム)
3DSは殺菌効果の高い薬剤を用いた「除菌療法」です。PMTCやスケーリングなどの歯面清掃後に、薬剤を注入した専用のマウスピースを一定の時間装着して口内の除菌を行います。
虫歯菌や歯周病菌に直接働きかけ、これらを効率よく除菌できるのが3DSの利点です。初期の診断で虫歯・歯周病のリスクが高いと診断された方、詰め物や被せ物が多い方などに広く用いられます。

■フッ素塗布
虫歯は虫歯菌が作り出す“酸”によって、歯の表面(エナメル歯)が溶けだすところからはじまります。フッ素にはエナメル質を丈夫にして酸に溶けにくくするほか、歯の修復機能である「再石灰化」をうながしたり、虫歯菌が酸を作るのを抑えたりする効果があります。
プロフェッショナルケアでは高濃度のフッ素を歯面に塗布し、虫歯予防の効果をさらに高めていきます。

歯磨き指導

ご家庭で行う「セルフケア」についてのアドバイスを行います。歯の大きさや歯並びに適した歯ブラシの選び方とブラッシング法、さらに歯間ブラシやデンタルフロスの使い方などをお伝えします。

ご家庭で行う「セルフケア」

虫歯菌や歯周病菌の生息場所であるプラークは、歯面をきれいに清掃しても食後8時間程度で新たなプラークが形成されます。以下の項目に挙げる「セルフケア」にはプラークの形成を抑え、虫歯菌や歯周病菌の菌数をコントロールする役割があります。

ご家庭で行う「セルフケア」

歯磨き

歯磨きには“スクラッピング法”や“バス法”など様々なブラッシング法があります。ただこれらのテクニックを習得する前に、まずは基本をおさえておくことが肝心です。
はじめに歯ブラシはヘッド部分がコンパクトで小回りが利くもの、ブラシ部分は硬すぎないものを選びます。また、ブラシの当て方については、毛先が歯面に対して90度(直角)になるのを意識すると、プラークが効率よく落とせます。
歯磨きは毎食後1日3回が理想的ですが、難しい場合は最低でも朝晩の2回は行うよう心がけましょう。このうち就寝前の歯磨きにより丁寧に時間をかけるのがポイントです。

デンタルフロス・歯間ブラシ

どんなにしっかり磨いても、歯ブラシのみのブラッシングでは歯面に付着したプラーク全体の6割程度しか落とせません。
特に歯と歯の間といった狭いすき間については、デンタルフロスや歯間ブラシなどに代表される「歯間クリーナー」の使用が必須となります。
実際に歯ブラシに歯間クリーナーを併用すると、プラークの除去率は8割程度まで向上するといわれています。

うがい薬(デンタルリンス)

近年市販されているうがい薬には、殺菌効果の高い成分が含まれるものも多くあります。ブラッシング後の仕上げにこのようなうがい薬を併用するのも、セルフケアの効果を高めるのに有効です。また就寝前の使用では、目覚めた時のお口のネバつきや口臭を抑える効果も期待できます。

虫歯・歯周病予防につながる習慣の改善

虫歯と歯周病は口内の細菌がもたらす“細菌感染症”ですが、一方で病気の発症や進行には日頃の生活習慣も深く関わっています。これらの病気を予防するうえでは、お口のケアとあわせて以下のような習慣の改善も大切です。

だらだら食べない

食事や間食の時間が定まらない「ダラダラ食べ」は、虫歯や歯周病のリスクを高めます。その理由、お口の中を清潔に保つ“唾液”の機能がうまく働かなくなるからです。
唾液には口内に付着した汚れや細菌を洗い流すだけでなく、虫歯菌が作る”酸“の力を弱める働きが備わっています。さらに唾液中には殺菌成分や歯の再石灰化に必要な成分も多く含まれています。
しかしこのような唾液の機能も、お口の中に食べ物が常に入っている状態では十分に働かせることができません。
したがって食事や間食は決まった時間、決まった回数のみを心がけるなど、日頃の食生活を見直すことも虫歯・歯周病を予防するうえでは重要です。

歯ぎしりを防ぐ

歯ぎしりをすると歯やそれを支える骨にも大きな力が加わり、多大なダメージを与えていきます。とくに歯周病に関しては、歯ぎしりが病状の発症や悪化につながるリスクファクター(危険因子)に挙げられているため注意が必要です。
歯ぎしりの改善についてはいまだ具体的な治療法が確立されていませんが、専用のマウスピースを着用することで、歯ぎしりによる歯や骨への負担を軽減できます。マウスピースには保険が適用されるため、気になる方は歯科医院で相談してみましょう。

「口呼吸」を「鼻呼吸」にする

口呼吸をするとお口の中が常に乾燥し、唾液による自浄作用が働きにくくなります。これにより口内には細菌が繁殖し、虫歯・歯周病だけでなく、風邪やインフルエンザといった感染症にもかかりやすくなるため注意しましょう。
対策としては「日中はできるだけ“鼻呼吸”を意識する」「就寝中は専用のテープでお口を閉じる」などがあります。それでも改善が難しい場合は、耳鼻科・歯科医院などの専門科を受診しましょう。

まとめ

虫歯・歯周病予防の鉄則は毎日の歯磨きに代表されるセルフケアですが、一方でセルフケアのみでこれらの病気を完全に予防することはできません。
お口の健康を維持するうえではご家庭でのセルフケアに加え、歯科医院での定期的なメンテナンスを継続していくことが大切です。セルフケアとプロフェッショナルケアの両立は自身の歯を生涯にわたり守り続け、ひいては全身疾患の予防や健康寿命の延命につながるでしょう。

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■他の予防歯科のコラム:https://teech.jp/column/yobotiryo
■予防歯科の歯科医師インタビュー:https://teech.jp/interview/yobotiryo-interview
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【コラム執筆・監修者の紹介】 
影向 美樹
歯科医師免許取得後、横浜・京都の歯科医院にて10年ほど歯科医として勤務。現在は歯科分野を中心とした医療系Webライターとして活動中。

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