インプラント vs ブリッジ!歯を失ったときはどっちがいいの?

歯を失ったとき、多くの人が「どの治療法を選べばいいの?」と悩むことでしょう。インプラントとブリッジは、どちらも失った歯を補うための治療法ですが、その治療内容や費用、見た目やメンテナンスの手間などには大きな違いがあります。
この記事では、インプラントとブリッジの違いを詳しく解説し、あなたに合った治療法を見つけるためのヒントをお届けします。どちらの方法が自分に合っているかを見極めるためには、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと理解することが大切です。
歯を失った際の選択肢
虫歯や歯周病、事故などで歯を失ったとき、そのまま放置していると、噛み合わせの悪化や顎の骨の吸収、他の歯への影響など、さまざまな問題が生じます。そうした事態を避けるためにも、失った歯を補う補綴(ほてつ)治療が必要となります。
補綴治療にはいくつかの選択肢があり、それぞれに特徴があります。ここでは、代表的な三つの治療方法である「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」について紹介し、それぞれの特徴を比較していきます。
インプラント
インプラントは、歯を失った部分の顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療方法です。天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できる点がメリットとされています。また、周囲の健康な歯を削る必要がないため、残っている歯への負担も少なくて済みます。
ただし、手術が必要な点や顎の骨の状態によっては治療が難しい点については注意が必要です。
ブリッジ
ブリッジは、失った歯の両隣にある健康な歯を土台として削り、その上に橋のように連結された人工歯を装着する治療方法です。固定式で違和感が少なく、見た目も自然であることから、多くの歯科医院で行われています。また、インプラントと比べて治療期間が短く、手術も不要なため、身体的な負担が少ないのが特徴です。
ただし、支えとなる健康な歯を削らなければならない点や、支台の歯に負担がかかることで将来的にトラブルが起こる可能性がある点には注意が必要です。口腔内の状況や長期的な視点での判断が求められる治療法だといえるでしょう。
入れ歯
入れ歯は、歯を広範囲にわたって失った場合や他の治療が困難な場合に選ばれることが多い治療法です。部分的に失った歯を補う部分入れ歯と、すべての歯を補う総入れ歯の2種類があり、取り外しができることが特徴です。手術の必要がなく、短期間で治療を終えられるため、高齢者や持病を抱える方にも優しい治療法といわれています。
ただし、装着時の違和感や噛む力の弱さ、定期的な調整が必要になる点など、使用感に課題がある場合もあります。入れ歯とインプラントの違いに関しては「インプラント vs 入れ歯!あなたに合った治療法はどっち?」で詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
インプラントとブリッジの違い
インプラントとブリッジは、どちらも失った歯を補う治療法ですが、アプローチや患者様への影響は大きく異なります。見た目や機能面だけではなく、治療期間や費用、体への負担、さらには将来的なリスクなど、選ぶ治療法によって長期的な影響も変わってきます。
そのため、治療を受けるにあたっては、自分のライフスタイルや健康状態に合った方法を選ぶことが重要です。ここでは、インプラントとブリッジの違いについて、具体的な観点ごとに比較しながら解説していきます。
対象となる人
インプラントは、顎の骨の量や質が十分で、全身的な健康状態に問題がない人が対象となります。骨の量が不足している場合は、骨造成といった追加処置が必要になることもあります。また、糖尿病や心疾患などの持病がある場合は、治療の可否を慎重に判断する必要があります。
一方、ブリッジは隣接する歯が健康であれば受けられる治療法です。
ただし、支えとなる歯に大きな負担がかかるため、歯の状態が悪いと適応できない場合もあります。どちらも事前の精密な診査と歯科医師による判断が重要です。
生活への影響
インプラントは顎の骨に固定されているため、天然の歯に近い感覚で食事や会話ができます。しっかり噛むことができるため、食事の選択肢も広がり、日常生活におけるストレスが少ないというメリットがあります。また、見た目の自然さも相まって、自信を持って人前で話すことができるようになる人も多いです。
一方、ブリッジも固定式のため、入れ歯のような取り外しの煩わしさはなく、スムーズに日常生活に馴染むことができます。
ただし、支台となる歯に痛みや違和感が生じる場合もあり、歯の状態によっては噛む力に制限が出ることもあるため、注意が必要です。
審美性
審美性を重視する方はセラミックを使用したインプラントが良いかもしれません。セラミックは、色調や透明感が天然歯に近く、見た目ではほとんど区別がつかないほどです。歯茎との境目も自然な感じに仕上がるため、自信を持って口元を見せることができます。
一方、ブリッジも使用する素材や技術によっては美しく仕上げることが可能ですが、支台となる歯の位置や形に左右されやすく、仕上がりに個人差が出る場合があります。また、長期間の使用によって見た目に影響が出る場合もあるため、定期的にチェックすることが重要です。
手術の必要性
インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に埋め込むための手術が必要です。局所麻酔を用いて行われるため、痛みは抑えられますが、手術後には腫れや違和感が出ることもあります。また、骨の量が少ない場合は、骨移植や骨造成といった追加の処置を伴うケースもあります。手術そのものに対する不安がある人や、全身疾患を抱える人にとっては慎重な検討が必要です。
一方、ブリッジの場合は外科的な手術を行う必要がありません。基本的には支台となる歯を削って型取りをするだけの工程で済むため、身体への負担は少なく、治療に対する心理的なハードルも低いといえます。
他の歯や顎の骨への影響
インプラントは他の歯を削ったり支えにしたりする必要がなく、独立して機能するため、周囲の歯に負担をかけることがありません。噛む力が顎の骨に伝わることで、骨の吸収(痩せ)を防ぐ効果も期待できます。長期的に見ても口腔内の健康を保ちやすい治療法だといえるでしょう。
一方、ブリッジは両隣の健康な歯を削って土台とするため、支台となる歯への負担が大きくなります。その結果、支台歯が弱まったり抜歯が必要になったりするケースもあります。また、顎の骨が徐々に痩せていくリスクも考慮しなければなりません。
お手入れ・メンテナンスの方法
インプラントのお手入れは、天然の歯と同様、毎日の歯磨きが基本となります。特に、歯とインプラントの境目はプラークがたまりやすいため、デンタルフロスや歯間ブラシなどを用いた丁寧なケアが求められます。また、インプラント周囲炎と呼ばれる炎症を防ぐために、定期的な歯科医院でのメンテナンスも不可欠です。
一方、ブリッジは連結された構造になっているため、ダミーの歯の下に食べかすが溜まりやすく、専用のフロスや清掃器具が必要になります。適切なお手入れを怠ると、支台歯が虫歯や歯周病になるリスクが高まるため、注意が必要です。
どちらの治療法も、長く快適に使い続けるためには、セルフケアと歯科での定期的なチェックが欠かせません。
想定されるトラブル
インプラントで注意すべきトラブルのひとつが、インプラント周囲炎です。インプラント歯周炎は、インプラントの周囲に炎症が起きて骨が吸収される病気で、放置するとインプラントが脱落する可能性があります。手術時の感染や神経の損傷といったリスクもゼロではありません。治療後の正しいケアと歯科医院での定期的なフォローが重要です。
一方、ブリッジでは、支台歯の虫歯や歯周病が大きなトラブルの原因となります。支台歯に過度な力がかかることで割れたり抜歯が必要になったりするケースもあります。また、構造上、ダミーの歯の下に汚れがたまりやすく、清掃が不十分だとトラブルが起こりやすくなります。
どちらの治療法でも、適切な使い方とメンテナンスを怠らないことが長期使用の鍵となります。
治療期間・寿命
インプラントの治療期間は、一般的に3〜6か月程度とされています。これは、人工歯根を顎の骨に埋め込んだ後、骨としっかり結合するのを待つオッセオインテグレーションという過程が必要なためです。場合によっては骨造成などの追加処置が加わり、さらに期間が延びることもあります。
一方、ブリッジの治療は数週間から1か月ほどで装着まで進めるケースが多いです。
ただし、寿命に関してはインプラントが10年以上、場合によっては20年以上機能することもあるのに対し、ブリッジは平均して7〜10年程度といわれています。もちろん、いずれの治療法も適切なケアとメンテナンスが行われていなければ、寿命が短くなる可能性があります。
費用
インプラントは自由診療となるため、1本あたり30万〜50万円程度が一般的な相場です。使用する素材や、治療を受ける歯科医院の設備・技術によっても価格に差があります。また、骨造成や仮歯の作製など、追加処置が必要になる場合にはさらに費用がかさむことがあります。
一方、ブリッジは条件によっては保険が適用されることがあります。保険診療の場合、費用は1〜3万円程度ですが、保険が適用されない自費診療のセラミック製ブリッジを選ぶと10万〜20万円以上かかるケースもあります。
初期費用だけで見るとブリッジの方が安価に見えますが、長期的なメンテナンスや再治療の頻度を考慮すると、総合的なコストは患者様の状況によって異なってきます。費用だけではなく、耐久性や再治療の可能性も踏まえて検討することが大切です。
自分に合った治療法の探し方
インプラントとブリッジ、どちらにもメリットとデメリットがあります。そのため、どちらが優れているかではなく、どちらが自分に合っているかを見極めることが大切です。費用だけではなく、健康状態やライフスタイル、ケアのしやすさまでを含めて総合的に判断する必要があります。
ここでは、インプラントとブリッジのどちらを選ぶべきか悩んでいる方に向けて、治療法を選ぶ際の重要な判断基準を3つご紹介します。これらのポイントを意識することで、自分に合う治療法を選ぶヒントになるはずです。
自分の健康状態を把握する
まず確認すべきなのは、自分の口腔内および全身の健康状態です。インプラントは手術を伴う治療法であり、身体への負担が大きいため、糖尿病や高血圧などの持病がある方、免疫力が低下している方には推奨されない場合があります。
一方、ブリッジは外科的処置が不要なため、幅広い人が受けられますが、支台となる歯が健康であることが前提です。まずは歯科医院で精密な診査を受け、自分の口腔内の状態を正確に知ることが自分に合う治療法を見つける第一歩となります。
予算を決める
治療法を選ぶうえで、費用は大きな判断材料となります。インプラントは保険が適用されない自由診療であり、1本あたり数十万円ほどかかります。そのため、複数本の治療を希望する場合は、トータルの費用が高額になることもあります。
一方、ブリッジは保険診療が可能なケースもあり、治療費を抑えやすい点が魅力です。
ただし、将来的に支台歯が悪くなり再治療が必要になる場合、結果的に費用がかさむこともあります。どちらの治療も一時的な負担だけではなく、長期的なメンテナンス費用まで含めた総コストを見積もることが重要です。
重要視したい要素を考える
治療法を選ぶ際には、何を重視するかを明確にすることも大切です。例えば「長持ちさせたい」や「他の歯への影響を避けたい」など何を重視するかによって、合う治療法は異なります。自分のライフスタイルや年齢、今後の予定なども踏まえながら、自分が何に価値を置いているのかをはっきりさせることで、より納得のいく選択ができるでしょう。
まとめ
歯を失った際の治療法としてインプラントやブリッジがありますが、それぞれ異なる特徴があります。インプラントは自然な見た目と高い耐久性を持ち、他の歯に負担をかけにくい一方で、手術が必要で費用も高額になりがちです。ブリッジは外科手術の必要がなく、身体的・精神的な負担が少ない反面、支台歯への影響や将来的なトラブルのリスクがあることを理解しておく必要があります。
重要なのは、自分の健康状態や生活環境、予算、価値観などに合わせて治療法を選ぶことです。この記事が後悔のない選択をするための参考になれば幸いです。
※この記事はインプラントやブリッジの効果を保証するものではありません。