インプラント治療の通院回数は何回?治療期間やスムーズに進めるコツも紹介
インプラント治療を検討していて、「どのくらいの通院が必要なの?」「治療期間はどのくらい?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。特に仕事や家事で忙しい方にとっては、通院の頻度や治療の流れをあらかじめ把握しておくことは、スムーズな治療の鍵となります。
この記事では、インプラント治療にかかる期間や通院回数の目安、治療の各段階とその通院スケジュール、さらには通院回数が増えるケースなどについて詳しく解説します。インプラント治療を検討している方にとって、現実的なスケジュール感を持つための参考になれば幸いです。
インプラント治療にかかる期間と通院回数
インプラント治療には3か月〜1年ほどかかることが多く、この間に10回ほどの通院が必要だとされています。追加処置が必要な場合やトラブルが生じた場合は、治療が長くなり、通院回数が多くなることもあります。また、治療が完了した後も定期的に通院することが大切です。
インプラント治療がすぐに完了しないのは、人工歯根があごの骨としっかり結合する「オッセオインテグレーション」という大切な過程に時間がかかるためです。この期間を十分に取らずに次の工程へ進めると、インプラントが安定しないリスクがあります。そのため、安全な治療を行うには、どうしてもある程度の時間が必要になります。
焦らず、段階を踏んで進めることが治療成功への近道なのです。
インプラント治療の主な流れ
インプラント治療は、いくつかの段階を経て進行します。それぞれの段階での処置内容や通院回数をあらかじめ把握しておくことで、スケジュール調整がしやすくなります。各段階で必要な処置が異なるため、通院回数にも幅がありますが、平均的には1つの段階につき1〜2回の通院が必要です。
以下では、それぞれの段階について、詳しく解説していきます。
カウンセリング・精密検査
インプラント治療はまず、カウンセリングと精密検査から始まります。初診では、患者様の現在の口腔内の状態を把握するため、視診のほかにレントゲンやCTスキャンによる画像診断なども行われます。
また、既往歴や持病、服薬状況などの全身状態についてもヒアリングがあり、安全に手術を行えるかどうかを判断します。この段階での通院は通常1〜2回程度で、治療計画の説明や見積もりの提示もこのタイミングで行われます。
抜歯
インプラントを埋入する部位に残存歯がある場合は、先に抜歯を行います。抜歯後すぐにインプラントを埋入できるケースもありますが、炎症が起きている、骨の状態が良くないなどの場合には、治癒期間を設けてから埋入手術を行います。抜歯だけであれば1回の通院で済みますが、抜歯後の経過観察や消毒のために追加で1〜2回通院することもあります。
インプラント埋入手術
準備が整ったら、インプラントをあごの骨に埋め込む(埋入する)手術が行われます。手術は局所麻酔下で行われるため、術中の痛みはほとんどないといわれています。手術自体の所要時間は1本あたり30〜60分程度で、手術前後の準備・説明なども含めて通院は通常1回です。
ただし、手術部位の確認や抜糸のために、術後1〜2回の通院が追加されます。詳しい手術の時間や流れについては、「インプラント治療の手術はどのくらいの時間がかかるの?治療期間や流れも解説」をご覧ください。
治癒期間
手術後、インプラントがあごの骨としっかり結合するまでの治癒期間が設けられます。これには一般的に2〜6か月程度かかります。治癒期間中は、通常の日常生活を送りながら、定期的に経過観察を受けます。痛みや腫れが落ち着けば食事や会話にも支障はありません。
骨の状態や患者様の状態によっては、治癒期間が長くなることもあります。この期間をしっかり確保することで、インプラントの安定性が高まり、長期的な成功につながるのです。
型取り
インプラントと骨の結合が確認されたら、人工歯(上部構造)を作るための型取りを行います。型取りは通常1回の通院で完了しますが、より精密な仕上がりを求める場合や技工士との連携が必要な場合は、数回の調整を経ることもあります。型取り後は技工所で人工歯の製作が行われ、完成までに1〜2週間ほどかかるのが一般的です。
インプラント装着
人工歯が完成したら、装着していきます。噛み合わせや見た目などを確認しながら微調整を行い、しっかりと固定します。この工程は1回の通院で完了することが多く、ここでようやくインプラント治療が完了します。装着後には、違和感やトラブルがないか確認するために、1〜2週間後に再受診を促されることもあります。
メンテナンス
インプラント治療では、完了後も定期的なメンテナンスが必要です。インプラントは天然歯とは違って虫歯になりませんが、インプラント周囲炎などのトラブルが起こる可能性があります。それらのトラブルを予防するためには、日頃のケアと歯科医院でのクリーニングの両方が重要です。
3か月〜6か月に1回程度の通院が推奨されており、口腔内のチェックや噛み合わせの確認、ブラッシング指導などが行われます。インプラントをできるだけ長持ちさせるためにも、定期的に通院し、メンテナンスを受けるようにしましょう。
通院回数が多くなるケース
インプラント治療は、事前に計画を立てて進めるのが基本です。
しかし、口腔内や全身の健康状態によっては、途中で計画を調整する場合があります。
そのため、予定よりも治療期間や通院回数が増えることもあります。特に、骨の量が少ない方や持病を抱えている方、インプラントの周囲に炎症が見られる方は、追加処置や慎重な経過観察が求められるため、その分だけ通院頻度も高くなります。これらの要因を事前に把握しておくことで、スケジュール調整や心構えがしやすくなります。
以下に、通院回数が多くなる主なケースを紹介します。
骨造成などの追加手術が必要な場合
あごの骨が不足している場合には「骨造成(こつぞうせい)」や「サイナスリフト」などの追加処置が必要になることがあります。これらはインプラントをしっかりと固定するために欠かせない工程ですが、骨の再生を待つための治癒期間が必要になることもあり、結果として通院回数も増加します。追加処置の必要性は事前の検査で判定され、必要に応じてインプラント手術前または同時に行われます。
持病を抱えている場合
糖尿病や高血圧、心疾患などの持病がある方は、慎重な対応が求められます。これらの持病は傷の治りや感染リスクに影響するため、術前・術後の管理が特に重要です。そのため、全身の健康状態を確認するための内科的な診断書の提出や、術後の経過観察を多めに行う場合があります。持病のコントロール状況によっては、予定よりも多くの通院が必要になることがあります。
インプラント周囲炎の兆候がある場合
治療後にインプラント周囲の歯ぐきに炎症が起こる「インプラント周囲炎」は、早期対応が求められるトラブルです。兆候としては、歯ぐきの腫れや出血、違和感などがあり、これらが見られる場合にはできるだけ早く受診しましょう。
状態によっては消炎処置やクリーニング、薬の投与などが繰り返されるため、複数回の通院が必要になることがあります。インプラント周囲炎を予防するためにも、日頃のセルフケアと定期検診の受診を欠かさないようにしましょう。
治療をスムーズに進めるコツ
インプラント治療を計画通りに進め、通院回数や治療期間を最小限に抑えるためには、いくつかのポイントを意識することが大切です。第一に、治療前の検査結果や説明をしっかり理解し、わからないことは遠慮なく質問することが大切です。また、術後の注意事項や指示を守ることも、トラブルを防ぐうえでは欠かせません。
さらに、口腔内の清潔を保つことも、感染リスクを下げるのに効果的です。歯磨きや歯間ブラシの使用に加え、歯科衛生士によるブラッシング指導を受けることで、より質の高いセルフケアが可能になります。日々の意識と行動が、インプラント治療をよりスムーズに、確実に進める鍵となります。
まとめ
インプラント治療を成功させるためには、一定の治療期間と通院が必要です。カウンセリングから始まり、手術、治癒期間、人工歯の装着、そしてその後のメンテナンスまで、多くの工程を段階的に進めていくため、全体では3か月から1年ほどの期間がかかり、10回程度の通院が必要になります。
また、骨造成や持病の有無など、個々の状況によっては通院回数が増えるケースもあるため、事前の診査・説明をしっかり受けておくことが大切です。治療を円滑に進めるためには、日頃の口腔ケアと、歯科医師や歯科衛生士との連携が欠かせません。インプラントを長く快適に使い続けるためにも、定期的なメンテナンスを怠らず、予防意識を高く持ちましょう。
※本記事は一般的な歯科治療情報を紹介するものであり、自由診療(保険適用外)を含む場合があります。治療内容や費用、期間、リスクは症状や診断結果によって異なります。