ゴールドクラウンとは？メリットやデメリット、費用などを徹底解説

歯科治療で使用される被せ物（クラウン）には、さまざまな種類があります。その中でもゴールドクラウンは、長年にわたって高く評価されているものの1つです。

名前の通り金を主成分とした被せ物であり、主に奥歯の治療に用いられます。セラミックやジルコニアが主流になっていく中、機能性を重視する層に根強い人気があります。

本記事では、ゴールドクラウンのメリット・デメリットや費用、治療期間、さらには寿命やお手入れ方法まで、徹底的に解説します。ゴールドクラウンの特徴を知ることで、自分に合ったクラウンを選ぶ手助けになるでしょう。

ゴールドクラウンとは

ゴールドクラウンとは、金合金を主成分とした被せ物（クラウン）　のことです。虫歯や破折などで大きく損なわれた歯を補う際に使用されます。

ゴールドクラウンに使われる金は純金ではなく、金に白金や銀、銅などを加えた合金で、強度としなやかさのバランスが取れた素材です。

ゴールドクラウンは、日本のみならず世界中で長年にわたり使用されてきた歴史があり、歯科医療の中でも信頼性の高い選択肢とされています。適合性が良く、隙間に虫歯ができるリスクが低い治療法として高く評価されています。

また、長期的な視点で見ると、再治療のリスクが少なく、結果的にコストパフォーマンスに優れた選択となることもあります。

ゴールドクラウンのメリット

ゴールドクラウンには、他の被せ物にはない多くのメリットがあります。見た目は目立ちやすいものの、耐久性や適合性、金属としての性質の良さから、機能性を重視する人々に選ばれ続けています。

ここでは、ゴールドクラウンの主なメリットをご紹介します。

違和感が少ない

ゴールドクラウンの大きな特徴の1つが、装着時の違和感が少ない点です。金合金は非常に加工しやすく、患者様の歯の形状に合わせて精密に成形することができます。

これにより、クラウンと歯の間にほとんど隙間ができず、噛み合わせや舌触りも自然な仕上がりになります。

また、ゴールドクラウンは装着後にわずかに変形するしなやかさを持っており、噛み合わせの力に応じて微妙にフィットしていきます。この特性が、他の素材にはない自然な噛み心地を実現し、長期間にわたって快適に使い続けることができる理由の1つとなっています。

その他、錆びにくい、変色しにくいなどの特徴もあります。他のクラウンでは「違和感が気になる」「馴染まない」といった声がある中で、ゴールドクラウンはそのリスクが非常に低く、日常生活に支障をきたしにくい選択肢といえるでしょう。

歯への負担が少ない

ゴールドクラウンは、天然の歯に近い硬さを持っているため、噛み合う歯や周囲の歯に対して優しく、負担が少ないという特徴があります。

さらに、装着する歯自体へのダメージも最小限で済みます。金合金は加工精度が高く、歯との適合性が良いため、必要以上に健康な歯質を削る必要がないケースも多いです。これは歯の寿命を延ばすうえで非常に重要なポイントとなります。

金属アレルギーが起こりにくい

金属を使った歯科治療において、よく心配されるのが金属アレルギーです。しかし、ゴールドクラウンに使用される金合金は、アレルギーを引き起こしにくい素材として知られています。

これは、金自体が非常に安定した金属で、体内で腐食やイオン化しにくく、唾液などによって成分が溶け出すことがほとんどないためです。

もちろん、すべての人にアレルギー反応が起きないわけではありませんが、他の一般的な金属（ニッケルやクロムなど）と比較するとリスクが低いといえます。

ゴールドクラウンのデメリット

ゴールドクラウンは、耐久性や適合性、体へのやさしさといった多くのメリットを備えた優れた素材ですが、当然ながらデメリットも存在します。治療を検討するうえでは、メリットだけではなく、メリットもしっかりと理解しておくことが大切です。

ここでは、ゴールドクラウンを選ぶ際にあらかじめ知っておきたい主なデメリットについて詳しく解説します。

目立ちやすい

ゴールドクラウンの最大のデメリットは、目立ちやすさにあります。金属色がはっきりとしており、笑ったときや口を開けたときに光って見えることがあります。審美性を重視する方にとっては、この点が大きなネックとなるでしょう。

特に、前歯や口を開けたときに見える位置の歯にゴールドクラウンを使用すると、他人の目に付きやすく、自然な歯の色との差が顕著になります。

特に近年は、審美性を重視してセラミックなどの目立ちにくい素材を選ぶ患者様が増えており、ゴールドクラウンはやや選ばれにくくなっています。

熱いものや冷たいものがしみることがある

ゴールドクラウンは金属でできているため、熱を伝えやすいという特徴があります。そのため、装着直後などに熱い飲み物や冷たい食べ物を口にした際、しみると感じることがあります。

ただし、このような症状は時間とともに落ち着いていくことが多く、慣れてくることで気にならなくなるケースも少なくありません。歯の神経が敏感な方や知覚過敏の傾向がある方は、治療前に歯科医師に相談することで適切な処置や対応が可能です。

また、しみる感覚を抑えるために、ゴールドクラウンの下に絶縁性のあるセメントを使用することで、症状を軽減することもできます。こうした対策によって、金属ならではのデメリットもある程度コントロールすることが可能です。

硬いものを噛むと変形することがある

ゴールドクラウンは、しなやかさと柔軟性を兼ね備えた素材であるため、強い衝撃や硬いものを噛んだ際に変形する可能性があります。特に、氷や飴、ナッツ類などを日常的に噛む習慣がある方は注意が必要です。

変形が起きるとクラウンと歯の間に隙間が生じ、そこから細菌が入り込んで虫歯につながるリスクがあります。さらに、噛み合わせがずれることで、顎への負担が増すことも考えられます。

とはいえ、通常の食生活を送っている限りでは大きく変形することはほとんどなく、極端な力が加わった場合にのみ起こる現象です。

歯科医院での定期的なメンテナンスを受けることで、早期に変形を発見し、適切な対応を取ることが可能です。

費用が高くなりがち

ゴールドクラウンは高品質な素材を使用している分、他の被せ物と比べて費用が高くなる傾向があります。金は貴金属であり、材料費自体が高価です。また、加工や鋳造にも高度な技術が求められるため、技工料も相応に高くなるのが一般的です。

さらに、ゴールドクラウンは健康保険が適用されない自由診療に分類されることが多く、全額自己負担となります。特に、複数本を同時に治療する場合には、かなりの出費になる可能性があります。

費用について不安がある場合は、事前に歯科医院で見積もりを取り、納得した上で治療を進めるようにしましょう。

ゴールドクラウンの治療回数・期間

ゴールドクラウンの治療は、2〜3回の通院で完了することが多いですが、口腔内の状態や治療する歯の本数、その他の治療内容によって前後します。

初回の診察ではまず、歯の状態を確認し、必要に応じて処置を行います。その後、歯を削って形を整え、型取りを行います。この工程が治療の中心となる部分で、クラウンの適合性を左右する重要なステップです。

型取りを行った後は技工所でゴールドクラウンが製作されます。完成までに約1〜2週間ほどかかるため、その間は仮歯を装着して過ごすことになります。クラウンが完成した後、最終的な装着を行い、噛み合わせや適合を確認して完了です。

すべてが順調に進んだ場合でも、治療開始から完了までにおよそ2〜3週間を見ておくと良いでしょう。場合によっては、事前の虫歯治療や歯周病治療が必要になることもあり、その場合は期間が長引くことがあります。

治療前にスケジュールを確認し、無理のない通院計画を立てることが大切です。

ゴールドクラウンの費用

ゴールドクラウンの費用は、使用する金の含有率や治療する歯の部位、歯科医院の方針などによって異なりますが、1本あたり5万円〜15万円程度が一般的な相場とされています。金の純度が高い場合、その分費用も高くなります。

また、ゴールドクラウンは健康保険が適用されない自費診療となるため、すべての費用が自己負担になります。

保険診療で使われる銀歯などと比べると初期費用は高く感じられますが、耐久性や適合性に優れていることから、長期的に見れば再治療のリスクが少なく、結果として経済的なメリットがあるとも言えます。

ゴールドクラウンの寿命

ゴールドクラウンの一般的な寿命は10～15年程度とされていますが、使用環境や口腔内の状態、メンテナンスの頻度によっては20年以上機能し続けるケースも珍しくありません。

ゴールドクラウンが長持ちしやすい理由は、その耐久性と安定性にあります。金は酸化や腐食に強く、口腔内のような過酷な環境でも劣化しにくい素材です。

また、歯との適合性が非常に高いため、クラウンの下に細菌が侵入するリスクが少なく、二次的な虫歯の発生を防ぐことができます。

費用などの面からみても、初期費用は高くなるものの長期的にはコストパフォーマンスに優れた治療法だといえるでしょう。

ゴールドクラウンのお手入れ方法

ゴールドクラウンを長持ちさせるためには、日常的なお手入れが欠かせません。いくら素材が優れていても、清掃が不十分であれば虫歯や歯周病のリスクが高まり、クラウンの寿命も短くなってしまいます。天然歯と同様、丁寧にケアすることが大切です。

クラウンの周囲は歯垢がたまりやすいため、やさしくブラッシングしましょう。特に、クラウンと歯の境目は細菌が入りやすいため、磨き残しがないように注意が必要です。

また、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃器具も活用すると、クラウンの隙間や歯と歯の間の汚れを効率的に除去できます。清掃が行き届いていないと、クラウンの下で虫歯が再発する二次う蝕が起きることがありますので、日々のケアが非常に重要です。

さらに、定期的な歯科検診も忘れずに受けましょう。クラウンの状態や噛み合わせ、周囲の歯ぐきの健康状態などをチェックし、必要に応じてプロフェッショナルケアを受けることで、長期間快適に使用することが可能になります。

まとめ

ゴールドクラウンとは、金を主成分とする高品質な被せ物です。奥歯のように強い力がかかる部位では、そのしなやかさや耐腐食性を活かし、長期的に安定した状態を保てるという大きなメリットがあります。変色やさびが起きにくく、金属アレルギーのリスクも低いため、体にやさしい素材といえるでしょう。

一方で、金属色が目立ちやすい、費用が高額になりやすいなどのデメリットもあります。そのため、見た目よりも機能や耐久性を重視する方に適しているといえるでしょう。

本記事で紹介したメリット・デメリット、費用、治療の流れや寿命などの情報をもとに、ぜひ納得のいくクラウン選びをしてみてください。