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虫歯(歯冠修復、欠損補綴) 2025/11/06

クラウン治療とは?必要なケースや種類、注意点などを徹底解説

クラウンの画像

「クラウン治療とはどんな治療?」「どんな素材を選ぶべき?」「費用や期間はどのくらい?」

そんな疑問を持つ方のために、本記事ではクラウン治療の基本から、保険診療と自費診療の違い、素材ごとの特徴、選び方のポイントまで、分かりやすく解説します。

納得のいく治療を受けるためには、正しい知識と自分に合った選択肢を知ることが大切です。治療を控えている方、不安を感じている方にとって、安心して一歩踏み出せるきっかけとなれば幸いです。

クラウン治療とは

クラウン治療とは、人工の被せ物(クラウン)を装着して歯の機能や見た目を回復する治療法です。クラウンは冠(かんむり)という意味で、歯の上からすっぽりと被せる形状をしているため、この名がついています。

小さな虫歯の場合は詰め物(インレー)で治療できることが多いですが、削る範囲が広い場合や歯の形が大きく損なわれた場合にはクラウン(被せ物)が必要になります。

通常、クラウン治療は歯の土台となる部分がある程度残っている場合に行われます。歯の根っこ(歯根)がしっかりしていれば、そこに土台を立て、その上にクラウンを装着することで噛む力を回復させることができるからです。

逆に、歯を抜く必要がある場合にはクラウン治療ではなく、インプラントやブリッジといった別の治療法が検討されます。

また、クラウン治療は歯の見た目を改善する目的で用いられることもあります。使用される素材は金属やセラミック、ジルコニアなど多岐にわたり、それぞれ特徴が異なります。

どのクラウンを使用するかは、治療する部位や目的、予算などによって変わってくるため、歯科医師と相談したうえで判断するようにしましょう。

クラウン治療が必要なケース

クラウン治療は、虫歯などの治療で歯を削った場合や前歯の見た目を整えたい場合に検討される治療法です。ここでは、クラウン治療が必要と判断される主なケースを3つご紹介します。

虫歯治療などで歯を削った場合

虫歯治療などで歯を大きく削った場合、その部分を補うための治療法として、クラウン治療が検討されることがあります。削った部分が小さい場合は詰め物(インレー)で対処できますが、大きく削った場合は詰め物では対処できず、クラウンが必要になります。

これは、大きく削ると歯の強度が不十分になり、噛む力に耐えられなくなるためです。特に奥歯は噛む力が強く、詰め物だけでは破折のリスクが高まることがあります。そのような場合、クラウンによって歯全体を覆うことで強度を確保するのです。

歯の神経を抜いた場合

歯の神経を取り除く治療(根管治療)を行った後の歯は脆くなるため、強度や密度を高めるためにクラウンを被せるのが一般的です。神経を抜いた歯は一見、健康に見えることがありますが、内部構造が弱くなっているため、強い力が加わると割れる恐れがあります。

クラウンを装着することで、折れたり割れたりするリスクを軽減し、長期的に安定した状態を保つことができるようになるのです。

審美性を回復したい場合

前歯の形や色が気になる場合や過去に治療した歯の見た目が不自然で気になる、といった場合にも、クラウン治療が検討されることがあります。特に前歯は日常的に人目に触れる部位であり、自然な色合いや形が求められます。

見た目を整える目的でクラウン治療を受ける場合、オールセラミックやジルコニアなどの見た目が自然で美しい素材を用いたクラウンが使用されることが多いです。クラウン治療は、単なる治療の一環としてだけではなく、患者様が自信を取り戻す手助けにもなっているのです。

クラウンの種類【保険診療】

クラウンには、健康保険が適用される「保険診療」のものと、患者様が全額自己負担する「自費診療」のものがあります。保険診療のクラウンと自費診療のクラウンの大きな違いは「見た目の自然さ」と「耐久性」です。保険診療のクラウンは費用を抑えられますが、見た目や耐久性に制限があります。一方、自費診療のクラウンは費用が高い分、見た目や耐久性の点で保険診療のものよりも優れています。

ここではまず、保険診療で使用できるクラウンを紹介します。次の項目では自費診療のクラウンを紹介しますので、楽しみにしていてください。

銀歯

銀歯は、保険診療のクラウンの中でも、一般的に使用されるものの1つです。強度と耐久性が高く、強い咬合力がかかる奥歯に使われることが多いです。

一方で、口を開けたときに目立つというデメリットがあります。また、金属アレルギーが起こるリスクもあるため、アレルギー体質の方は慎重な判断が求められます。

硬質レジン前装冠

硬質レジン前装冠は、金属のフレームの前面に白い樹脂(レジン)を貼り付けたクラウンです。主に前歯に使用されます。見た目の自然さをある程度保ちながら、費用も抑えられる点がメリットです。

ただし、変色しやすく、年数が経つと黄ばむことがあります。また、強度がやや低く、割れや欠けのリスクもあるため、奥歯にはあまり使用されません。

CAD/CAM冠

CAD/CAM冠は、コンピューターによって設計・加工されたハイブリッドレジン素材のクラウンです。銀歯と比べて白く自然な見た目が特徴で、金属を使用しないため金属アレルギーの心配もありません。

ただし、ハイブリッドレジンはセラミックよりも摩耗や劣化が早く、長期間の使用には注意が必要です。また、保険適用には条件があります。条件を満たしているかどうか、医師に確認するようにしましょう。

クラウンの種類【自費診療】

自費診療のクラウンは、見た目の自然さや耐久性、金属アレルギーへの配慮など、保険診療では得られない高い品質を求める方に選ばれています。選択肢が豊富で、それぞれ独自の特徴があり、患者様の目的や希望に合ったものを選ぶことができます。

ここでは自費診療のクラウンの代表的なものを5つ紹介します。

オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンは、その名前の通り、金属を一切使用せず、すべてがセラミックで作られたクラウンです。透明感と色調の再現性に優れており、審美目的で前歯に使用されることが多いです。

金属アレルギーの心配がないうえ、長期間使用しても変色しにくいため、見た目を重視する方には根強い人気があります。

ただし、強い力が加わると割れる可能性があるため、奥歯や噛み合わせが強い方には慎重な検討が必要です。

ジルコニアセラミッククラウン

ジルコニアセラミッククラウンは、内側にジルコニアを使用し、その外側にセラミックを焼き付けた構造になっています。ジルコニアの強度とセラミックの審美性の両方を兼ね備えており、前歯・奥歯のどちらにも使用できるバランスの取れた素材です。

ただし、加工には高度な技術が必要なため、費用が高くなる傾向があります。

オールセラミッククラウンやジルコニアセラミッククラウンなどについては「セラミッククラウンとは?種類やメリット・デメリット、費用などを徹底解説」で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。

ジルコニアクラウン

ジルコニアクラウンは、ジルコニアで作ったクラウンで、非常に高い強度を誇ります。セラミックよりも硬く割れにくいため、噛む力が強い奥歯に適しています。近年では、ジルコニア素材自体の加工技術が向上し、色や透明感も改良されているため、審美性の面でも選ばれるようになってきました。

とはいえ、オールセラミックに比べるとやや白さが不自然になることがあるため、審美性重視の前歯には注意が必要です。

ジルコニアクラウンとはどんな治療?人気の理由やお手入れ方法まで詳しく解説」では、より詳しくジルコニアクラウンについて解説しています。

メタルボンドクラウン

メタルボンドクラウンは、金属のフレームの上にセラミックを焼き付けたクラウンです。金属の強度とセラミックの見た目を両立でき、審美歯科で長く使用されてきた実績があります。

ただし、金属が内側にあるため、変色や金属アレルギーが生じる可能性があります。また、セラミック部分が割れるリスクがあるため、噛み合わせの状態に応じた選択が必要です。

ゴールドクラウン

ゴールドクラウンは、金合金や白金加金などの貴金属を使用したクラウンで、高い耐久性と適合精度が特徴です。歯とのフィット感が非常に良く、虫歯の再発リスクを軽減する効果も期待できます。

ただし、金色の見た目が目立つため、審美性を重視する方からは敬遠されることもあります。そのため、奥歯など目立ちにくい部位に使用されることが多いです。

なお、詳細については「ゴールドクラウンとは?メリットやデメリット、費用などを徹底解説」にて解説しています。

クラウン治療の治療期間・回数

クラウン治療にかかる期間や通院回数は、治療内容や歯の状態、使用する素材などによって異なります。一般的には、初回の診察からクラウンの装着までに2〜4回ほどの通院が必要で、期間としては1〜2週間から1か月程度を見ておくとよいでしょう。

1回あたりの治療時間は30分〜1時間程度が一般的です。根管治療を伴う場合は3〜5回の通院が必要になることもあります。

虫歯や歯周病がある場合は先に治療する必要があるため、気になる方はその分の期間も考慮しておくと安心です。特に、根管治療を行う場合は、歯の状態を安定させるために1か月以上かかることもあります。

自費診療のクラウンを選択した場合、色や形の調整に時間がかかるため、保険診療よりも治療期間が長くなる傾向があります。

スムーズに治療を進めるためには、事前に歯科医師としっかり相談し、自分に合ったスケジュールで治療計画を立てることが重要です。

クラウン治療の費用

クラウン治療にかかる費用は、保険診療か自費診療かによって大きく異なります。保険診療の場合、自己負担額は数千円程度に抑えられることが多い一方、自費診療のクラウンは1本あたり数万円から十数万円になることも珍しくありません。

特に、審美性にこだわる場合、色合わせなどに手間がかかることから費用が高くなりやすいです。歯科医師とよく相談し、自分に合う選択をしましょう。

クラウンを選ぶ際のポイント

クラウン治療では、選択する種類によって、治療後の満足度や将来的な再治療の必要性が変わることがあります。長く快適に使い続けるためには、自分のライフスタイルや口腔内の状態に合ったものを選択することが大切です。

ここでは、クラウンを選ぶ際に意識したいポイントを解説します。

治療する歯の位置で選ぶ

クラウンを選ぶ際の重要な判断材料の一つが、治療する歯の位置です。前歯と奥歯では求められるものが異なります。前歯の場合は見た目の自然さが重視されるため、オールセラミックやジルコニアセラミックなど、審美性の高い素材が選ばれることが多いです。

一方、奥歯は噛む力が非常に強くかかるため、耐久性の高いジルコニアクラウンやゴールドクラウンがよく選ばれます。治療する部位に合った素材を選ぶことでトラブルを避け、長く安定して使用することが可能になります。

見た目の自然さで選ぶ

笑ったときや会話をしたときに見えるところがクラウンになる場合、審美性の高さも重要な選択基準になります。特に前歯や上顎の歯は、人目につきやすいため、透明感があり天然歯に近い色調を持つオールセラミッククラウンやジルコニアセラミッククラウンが選ばれることが多いです。

銀歯などの保険診療のクラウンは、経年劣化で黄ばんだり金属のフレームが透けて見えたりすることがあります。見た目の自然さを重視する場合は、自費診療の審美性の高い素材を選ぶことが望ましいでしょう。

耐久性・金属アレルギーの有無で選ぶ

クラウンを選ぶ際には、耐久性や金属アレルギーのリスクも判断材料になります。金属を含むクラウンは強度が高く、長期にわたる使用が可能ですが、金属アレルギーのリスクがあるため注意が必要です。

金属アレルギーが心配な方は、オールセラミックやジルコニアなど、メタルフリー素材(金属を使用しない素材)のクラウンを選ぶのが良いかもしれません。

クラウン治療の流れ

クラウン治療はいくつかのステップを経て進められます。虫歯の進行度や神経の状態によっては前処置が必要な場合もあるため、あらかじめ全体の流れを理解しておくことが重要です。ここでは、クラウン治療の一般的な流れをご紹介します。

診断・治療計画の立案

治療前には、レントゲン撮影などの精密検査を行い、虫歯の深さや歯の状態、噛み合わせのバランスなどを確認します。検査の結果に基づいて、使用するクラウンの素材や治療にかかる期間・費用などを含めた治療計画が立てられます。

治療の進め方や注意事項が説明されますので、疑問点があればこの段階でしっかり確認することが大切です。

根管治療などの前処置(必要な場合)

虫歯が神経まで達している場合や過去に神経を抜いた歯の再治療が必要な場合には、クラウン治療の前に根管治療を行います。これによって細菌感染を除去し、クラウン装着後のトラブルを防ぐのです。

また、歯の損傷が激しい場合には、ファイバーコアやメタルコアなどの土台(コア)を作る治療も必要になります。これによりクラウンの安定性が高まり、長持ちしやすくなります。

歯の形成と型取り

前処置が完了したら、クラウンを装着するために歯の形を整える「形成」を行います。歯の周囲を均等に削り、クラウンがぴったりと収まる形にするのです。

その後、シリコンや光学スキャナーを使って歯型を取り、技工所でクラウンを製作する準備に入ります。歯にフィットしないクラウンは虫歯の再発や脱離の原因となるため、精度が非常に重要です。

仮歯の装着

クラウンの製作期間中は、削った歯を保護するために仮歯を装着します。仮歯は見た目や噛み合わせをある程度保つ役割を果たします。この期間中は硬い食べ物を避けるなどの注意が必要ですが、仮歯をつけておくことで歯が動いたり、感覚過敏になったりするのを防げます。

クラウンの装着

技工所で製作されたクラウンが届いたら、まずは仮合わせを行い、噛み合わせを確認します。問題がなければ、専用の歯科用セメントでクラウンを接着して、治療は完了です。装着後、数日間は硬いものを避けるなどの注意が必要ですが、ほとんどの場合、すぐに日常生活に戻ることができます。

痛みや違和感が長く続く場合やひどくなっていく場合はトラブルが起きている可能性がありますので、治療を受けた医院に相談するようにしましょう。

クラウン治療の注意点

治療後の過ごし方やメンテナンスのしかたによって、クラウンの寿命や快適さに大きな差が出てきます。適切なケアを怠ると脱落や再治療のリスクが高まるため、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。

クラウンの下に残っている歯は天然歯であるため、虫歯や歯周病になる可能性があります。

特に、クラウンと歯の境目は汚れがたまりやすいです。そこから虫歯が再発する「2次う蝕」が起こることもあるため、丁寧なブラッシングと定期的な歯科検診が欠かせません。

また、選択したクラウンによっては、強い衝撃によって割れたり外れたりする可能性もあります。

特にオールセラミックやジルコニアセラミックは審美性に優れている一方で、過剰な力に弱い場合もあるため、食習慣や噛み合わせの癖には注意が必要です。

さらに、金属を使用したクラウンでは金属アレルギーや歯茎の変色といった問題が生じることもあります。違和感や痛み、見た目の変化を感じた場合には、早めに歯科医院でチェックを受けるようにしましょう。

クラウンを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。6か月ごとの検診で噛み合わせや歯ぐきの状態を確認してもらうことで、再治療を防ぎ、健康な歯を長く保つことができます。

まとめ

クラウン治療は、虫歯や外傷で損傷した歯を補うために、人工の被せ物を装着する治療法です。機能の回復だけではなく、見た目の改善にも効果があります。

クラウン治療を成功させるためには、自分の口の状態や希望に合った素材を選ぶこと、治療後のメンテナンスをしっかり行うことが大切です。

歯科医師と十分に相談し、納得のいく治療を受けることで、クラウンは長く快適に使用することができます。将来の再治療やトラブルを避けるためにも、正しい知識を持って治療に臨むようにしましょう。

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