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虫歯(歯冠修復、欠損補綴) 2025/11/12

セラミッククラウンとは?種類やメリット・デメリット、費用などを徹底解説

セラミッククラウンによる治療を行う医師の手

虫歯治療などで歯を削った際、削った部分を補うために被せ物(クラウン)を使用することがあります。クラウンにはさまざまな種類がありますが、その中でもセラミッククラウンは、見た目が自然なことから人気を集めています。

本記事では、セラミッククラウンのメリット・デメリットから種類ごとの特徴、費用、期間、寿命、そして長く使い続けるためのコツまでを解説します。セラミッククラウンを検討している方はぜひ最後までご覧ください。

セラミッククラウンとは

セラミッククラウンは、素材にセラミック(陶材)を使用したクラウンのことで、天然歯に近い透明感を持っているのが特徴です。

主に虫歯や外傷などで大きく損傷した歯、あるいは根管治療を行った歯に対して、その上から被せて補強・保護する目的で使用されます。

また、近年は歯の見た目を美しくできるとして、審美目的で使用されることも増えています。そのため、審美歯科でも取り扱われていることが多いです。

セラミッククラウンには複数の種類があり、使用するセラミックの素材によって、見た目や耐久性、費用などが異なります。そのため、歯の状態や希望する仕上がり、予算に応じて選ぶ必要があります。

セラミッククラウンのメリット

セラミッククラウンには、他のクラウンにはないメリットがあるため、多くの患者様に選ばれています。ここでは、セラミッククラウンのメリットについて解説します。

見た目がきれい

セラミッククラウンの大きなメリットの1つに、見た目の美しさが挙げられます。天然歯に近い透明感と光の反射性を持ち、自然な歯の色に合わせて作製できます。そのため、周囲の歯と調和しやすく、目立ちにくいのが特徴です。

金属製のクラウンの場合、時間が経つと歯茎との境目が黒ずんだり金属の色が透けて見えたりすることがあります。しかし、セラミッククラウンであればこうした審美面でのトラブルはほとんどなく、長期間にわたって美しさを保つことが可能です。

虫歯や歯周病になりにくい

セラミッククラウンには、表面がなめらかで汚れが付きにくく、プラーク(歯垢)がたまりにくいという特性があります。そのため、適切に装着していれば、虫歯や歯周病のリスクを抑えることが可能です。

金属製のクラウンは時間の経過とともに腐食したり、歯や歯ぐきとの境界が黒ずんだりすることがあり、そこから細菌が侵入するリスクもあります。

一方、セラミックは経年劣化が少なく、口の中で安定した性質を保つため、長期的に見ても健康的な状態を維持しやすいといわれています。

もちろん、セラミッククラウンでも日々のブラッシングや定期検診は欠かせません。しかし、クラウンそのものの性質として、虫歯や歯周病の予防に貢献できるのは大きなメリットです。

金属アレルギーの心配がない

金属を使用しないタイプのセラミッククラウンは、金属アレルギーの心配がありません。

金属を使用したクラウンが長期間口の中に存在すると、金属イオンが溶け出し、アレルギー反応を引き起こすことがあります。皮膚のかゆみや湿疹、口内炎などの症状に悩まされる方も少なくありません。 

その点、オールセラミックやジルコニアセラミックなどの金属を含まない素材で作られたクラウンであれば、こうした心配をせずに治療を受けられます。特に、過去に金属アレルギーの既往がある方やアレルギー体質の方にとっては、うれしい選択肢といえるでしょう。

セラミッククラウンのデメリット

セラミッククラウンには多くのメリットがありますが、治療を受ける前に注意しておくべき点も存在します。ここでは、セラミッククラウンを選ぶ際に考慮しておくべきデメリットを紹介します。

歯を削る必要がある

セラミッククラウンを装着するためには、土台となる歯を削る必要があります。これは、クラウンをしっかりと固定するためです。

一度削った歯は元に戻すことができないため、慎重に判断することが大切です。特に、まだ健康な部分が多く残っている歯に対してクラウン治療を行う場合、必要以上に歯質を失うことになりかねません。歯科医師とよく相談した上で進めるようにしましょう。

強い衝撃で割れたり欠けたりすることがある

セラミッククラウンは、強い衝撃を与えると割れたり欠けたりすることがあります。食いしばりや歯ぎしりの癖がある方、頻繁にスポーツをする方は、セラミッククラウンの破損リスクが高くなるため、注意が必要です。

また、万が一クラウンが割れた場合は、再作製・再装着が必要になります。使用環境や生活習慣に応じた素材選びも重要です。

費用が高い

セラミッククラウンは、基本的には保険が適用されない自由診療となるため高額になりがちです。治療費は、使用する素材やクラウンの種類、治療する部位、歯科医院の方針などによって異なりますが、1本あたり7万円〜15万円程度が一般的な相場です。高品質な素材を使用した場合には、それ以上になることも珍しくありません。 

保険診療のクラウンと比べて経済的な負担が大きくなる点は、考慮する必要があります。

セラミッククラウンの種類

一口にセラミッククラウンといっても、その種類はひとつではありません。使用される素材や構造、目的に応じていくつかのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

見た目の自然さを重視するのか、耐久性を優先するのか、または費用とのバランスを考慮するのかによって、選ぶべきクラウンの種類は変わってきます。

歯科医院では、患者様の口腔内の状態や希望に合ったものを提案してもらえることがほとんどですが、事前にそれぞれの特徴を理解しておくことで、納得のいく治療選びにつながります。ここでは、代表的な5種類のセラミッククラウンについて、詳しく解説していきます。

オールセラミック

オールセラミッククラウンはすべてがセラミック素材で作られているクラウンで、隣接する天然歯と見分けがつかないほど自然な仕上がりになるのが特徴です。自然な透明感と色調を実現でき、前歯などの審美性が求められる部位によく使用されます。 

また、金属を使用していないため、金属アレルギーの心配もなく、歯ぐきの変色も起こりにくいというメリットがあります。

ただし、奥歯などの強い力が加わる部位では破折のリスクがある点には注意が必要です。

ジルコニアセラミック

ジルコニアセラミックは、内側にジルコニアを使用し、その上にセラミックを焼き付けて仕上げるクラウンです。ジルコニアの高い強度とセラミックの自然な白さを両立したクラウンとして注目されています。

破折のリスクが少ないため、奥歯など強い噛み合わせの力がかかる部位に使用されることが多いです。また、金属を使用していないため、金属アレルギーの心配もなく、歯ぐきの変色も起こりにくいです。

メタルボンド

メタルボンドクラウンは、内側に金属を使用し、外側にセラミックを焼き付けて作られたクラウンです。金属の強度とセラミックの審美性を兼ね備えており、長年にわたり多くの歯科医院で使用されてきた信頼性の高い治療法です。

金属を芯にしているため、非常に丈夫で破折しにくく、奥歯など強い力がかかる部分にも安心して使用できます。外側にセラミックを用いることで、見た目もある程度自然に仕上がり、日常生活に支障のない美しさを保つことが可能です。

ただし、内側に金属を使っているため、金属アレルギーのある方には不向きな場合があります。また、歯ぐきとの境目が黒ずむことがあり、年数が経つと審美性がやや劣ってくる点もデメリットです。

ハイブリッドセラミック

ハイブリッドセラミックは、セラミックとプラスチック(レジン)を混ぜ合わせて作られたクラウンです。純粋なセラミックと比べると柔らかく、噛み合う歯を傷つけにくいという特徴があります。

ただし、セラミックの割合が少ない分、透明感や美しさでは他のセラミック素材にやや劣ります。また、プラスチック成分が含まれているため、経年によって変色しやすく、耐久性にも限界があります。

e-max(イーマックス)

e-maxは、二ケイ酸リチウムというガラス系のセラミックを素材としたクラウンで、審美性と耐久性のバランスに優れています。透明感や自然な色調の再現性が高く、前歯などの審美性が求められる部位に使用されることが多いです。 

従来のオールセラミックよりも強度が高く、ある程度の噛む力にも耐えることができるため、臼歯にも応用可能です。また、金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配もなく、歯ぐきの変色も起こりにくいというメリットがあります。

ただし、ジルコニアほどの強度はないため、非常に強い力がかかる部分では注意が必要です。

セラミッククラウンの治療回数・期間

セラミッククラウンによる治療には、1~3週間程度かかるのが一般的です。この間に2~4回ほどの通院が求められます。

初回の診察では、口腔内の検査や診断、治療計画の説明、そして必要に応じて虫歯の除去や根管治療などが行われます。次に、クラウンを作製するために歯を削って型取りを行い、仮歯を装着します。

その後、技工所でセラミッククラウンを作製し、完成したクラウンを最終的に装着する、という流れになります。

治療期間や通院回数は患者様の口腔内の状況や、使用するクラウンの種類、歯科医院の技工体制によって変わります。治療前にスケジュールをしっかり確認し、無理のない通院計画を立てることが大切です。

セラミッククラウンの費用

セラミッククラウンの費用は、使用する素材の種類や治療を行う歯科医院の方針、地域によって大きく異なります。一般的には1本あたり7万円〜15万円程度が相場となっており、審美性や耐久性の高い素材を選ぶほど費用は高くなる傾向があります。

特にオールセラミックやジルコニア、e-maxなどの高品質な素材は、10万円を超えることが多いです。また、保険診療が適用されない自費診療となるため、全額自己負担となります。

費用にはクラウンの作製費だけではなく、診察料や型取り、仮歯の装着、調整、装着後のメンテナンスにかかる費用などが含まれることもあります。

事前に見積りを取り、何にかかる費用が含まれているのか、追加でかかる費用はあるのかなどを確認しておきましょう。

セラミッククラウンの寿命

セラミッククラウンの寿命は、一般的に7〜10年程度といわれていますが、使用する素材や装着の精度、日々のケアの状況によって大きく左右されます。高品質な素材と丁寧な治療がなされた場合、10年以上にわたって良好な状態を保つケースも少なくありません。 

特に、ジルコニアやe-maxのような強度と耐久性に優れたセラミックを使用した場合、破損や劣化が起こりにくく、長期的に安定した結果が得られやすいです。

ただし、どれほど高品質な素材を使っても、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣があると寿命は短くなりやすいです。また、クラウンの下の歯が虫歯になったり、歯ぐきが後退してクラウンと歯の間にすき間ができたりすると、再治療が必要になることもあります。

長く使い続けるために、以下で紹介するポイントを意識するようにしましょう。

セラミッククラウンを長く使い続けるコツ

セラミッククラウンを長く快適に使い続けるためには、日々の丁寧なケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。クラウン自体は虫歯になりませんが、その土台となる天然歯や周囲の歯ぐきは虫歯になるリスクがあるため、しっかりと守る必要があります。

まず、基本となるのが、正しいブラッシングです。歯とクラウンの境目は汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病の原因になります。やわらかめの歯ブラシを使い、歯ぐきとの境目を丁寧に磨くことが大切です。

加えて、デンタルフロスや歯間ブラシも併用することで、より効果的にプラークを除去できます。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガード(就寝時用のマウスピース)を装着することで、クラウンにかかる負担を軽減できます。

さらに、3〜6か月に一度は歯科医院で検診を受けるようにしましょう。医師によるチェックやクリーニングを受けることで、クラウンの状態や土台の歯の健康を保てます。また、トラブルを早期に発見することにもつながります。

セラミッククラウン以外のクラウン

症状やご希望、予算などによっては、他の素材のクラウンが適している場合もあります。保険診療のものを含め、さまざまな種類のクラウンが存在しており、それぞれ特徴が異なります。 

ここでは、セラミック以外の素材について、それぞれの違いを比較表でまとめてご紹介します。クラウン選びの参考として、ぜひご活用ください。

クラウン比較表

まとめ

セラミッククラウンは、見た目の美しさと機能性を両立した被せ物として人気があります。使用する素材によって特徴や費用に違いがあり、審美性を重視する方から強度やアレルギー対策を求める方まで、幅広いニーズに応えられるのが魅力です。

一方で、治療には歯を削る必要があることや費用が高額になる点など、事前に理解しておくべき注意点もあります。自身の口腔内の状態やライフスタイルに合った素材を選ぶことが、満足度の高い結果につながります。

この記事を通じて、セラミッククラウンについて正しい知識を持ち、納得のいく治療選びができる一助となれば幸いです。

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