虫歯は治療しないと治らないの?
虫歯になると「必ず歯を削らなければ治らない」と思われている方も少なくないことでしょう。確かに、虫歯は歯医者さんで削らなければ完治させることが困難な病気ですが、実は例外もあるのです。そこでまず「歯」という組織について、簡単に説明します。
▼エナメル質は再生しない組織?
私たちの歯は「エナメル質」という特別な組織によって覆われています。このエナメル質は、他のどの体の部位にも存在しておらず、なおかつ人体で最も硬い組織としても有名ですよね。そのため、歯を外からの刺激から守る上で、とても重要な役割を果たしているのですが、傷ついたり、削ったりすると「再生しない」という特徴も持っています。つまり、虫歯治療で歯を削れば削るほど、エナメル質を始めとした歯の寿命はどんどん縮まっていってしまうのです。
▼初期の虫歯なら「再石灰化」によって治せる
上述したように、エナメル質は再生することのない組織ですが、「再石灰化(さいせっかいか)」という現象は起こります。例えば、炭酸飲料などを飲むと、お口の中は酸性へと傾きます。すると、エナメル質の表面では「脱灰(だっかい)」と呼ばれる現象が起きて、虫歯と同じように歯質が溶け始めるのです。
再石灰化とは、そうして溶けだした歯質を元に戻す作用を意味します。「フッ素は再石灰化を促進する」という話を耳にしたことがあるかと思いますが、まさにこの現象を指しているのです。そして、初期の虫歯でも比較的軽度の「脱灰」が起こっていることから、再石灰化によって治すことが可能なこともあります。
▼初期の虫歯の特徴
再石灰化によって治すことができる初期の虫歯というのは、歯の表面に穴があいていません。そして、歯面が白く濁る「白斑(はくはん)」や「白濁(はくだく)」といった症状が認められるのが特徴です。皆さんも一度、鏡を使って歯列の隅から隅までチェックしてみましょう。もしも白い病変が見つかったら、それは初期の虫歯かもしれませんので、すぐに歯医者さんを受診することが大切です。
▼初期の虫歯の治療法
歯医者さんでは初期の虫歯に対して「フッ化物の歯面塗布」や「ブラッシング指導」を実施することで対処します。高濃度のフッ素を作用させて歯の再石灰化を促し、ブラッシング指導によって正しい歯磨きが行えるようにするのです。そうすることで虫歯の進行が止まり、歯を削らずとも治すことが可能となるのです。
▼まとめ
このように、発生して間もない虫歯であれば積極的な治療を施さずとも治せることがありますので、気になる点があったらすぐに歯科を受診しましょう。そうした初期の病変を発見するためには、定期検診を受けるのが一番といえます。
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【コラム監修歯科医師】
岡本歯科医院 院長 岡本徹先生
▼医院について
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医院ホームページ:https://www.okamoto-d.net
〒146-0091 東京都大田区鵜の木2-15-19
▼経歴
1986年 東京医科歯科大学 歯学部 卒業
2011年 公益社団法人東京都大田区大森歯科医師会 初代会長
2015年 岡本歯科医院 院長就任
▼役職
東京都歯科医師連盟 専務理事
公益社団法人東京都大田区大森歯科医師会 監事
全日本歯科医師剣道連盟 理事長
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【コラム執筆歯科医師】
運営サイト:「みんなの歯学」https://minna-shigaku.com
長崎大学歯学部歯学科卒業