フッ素入りの歯磨き粉は虫歯になりにくいの?
今現在、市販されている歯磨き粉の8割以上には、フッ素が入っていると言われています。実際、薬局やドラッグストアなどに陳列されている歯磨き粉は、どれも「フッ素配合」と書かれたものばかりですよね。でも本当のところ、フッ素入りの歯磨き粉には虫歯予防効果が期待できるのでしょうか。また、身体に害が及ぶことはないのか不安に感じている方もいらっしゃることかと思います。ここではそんなフッ素入り歯磨き粉の作用について詳しく解説します。
▼虫歯予防の効果は科学的に証明されている
世の中はいろいろな種類のサプリメントが存在していますよね。その中には身体への効果が不明瞭なものも多く含まれますが、フッ素入りの歯磨き粉についてはその効果が科学的に証明されています。フッ素というのは、2つの作用で虫歯予防に寄与することが分かっているのです。
▼フッ素は歯の再石灰化を促進する
歯磨き粉を通じてフッ素を歯に作用させると、歯の再石化作用が促されます。それにより虫歯菌によって歯質が溶かされたときだけではなく、酸性の飲食物によって歯が脱灰(だっかい)した際にも、歯質を修復する作用としてその効果を発揮されます。もしも歯が溶け出す現象である「脱灰」をそのままにすると、やがては虫歯を発症してしまいます。そういった意味でフッ素入りの歯磨き粉を使うことで虫歯になりにくくなるといえます。
▼フッ素は歯を強くする
フッ素には再石灰化を促すことができる物質ですが、それに加えて「歯質を強化」する作用も期待できます。これは脱灰した歯が再石灰化する過程で、歯質の中にフッ素が取り込まれることで実現します。具体的には「フルオロアパタイト」という結晶構造が確立されることで、虫歯菌への抵抗性が高くなるのです。ちなみに、通常の再石灰化では歯質を構成する成分と同じ「ハイドロキシアパタイト」が生成されます。
▼フッ素の安全性は?
どんな物質でもそうですが、フッ素にも有害作用というものがあります。例えば、歯が形成される時期に過剰なフッ素を摂取すると「歯のフッ素症」という病気を発症します。また、過剰に摂取したフッ素によってさまざまな中毒症状が現れることもあります。ただ、フッ素入りの歯磨き粉というのは、あくまで歯の表面にフッ素を作用させるだけなので、基本的に有害作用が生じることはありません。
▼まとめ
このように、フッ素入りの歯磨き粉には虫歯予防効果が期待できますので、積極的に活用していきます。それに加えて、歯医者さんでのフッ素塗布を受けることで、虫歯予防効果をさらに引き上げることができます。
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(このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています)
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長崎大学歯学部歯学科卒業