歯周病と虫歯の違いは何?
お口の病気の代表といえば「歯周病」と「虫歯」ですね。ご自身だけではなく、身の回りの方にも歯周病や虫歯にかかったという経験があることでしょう。そんな身近な病気である歯周病と虫歯には、共通する点もあれば決定的に異なる点もあります。ここではそんな歯周病と虫歯の違いについてわかりやすく解説します。
▼原因となる細菌の違い
歯周病と虫歯はどちらも細菌感染症ですが、原因となる細菌の種類は違います。具体的には歯周病がP.g菌などの歯周病菌、虫歯はミュータンス菌に代表される虫歯菌です。これらの細菌は、エサとなる食物の種類も異なりますが、お口の中が不潔になると繁殖するという点は共通しています。
▼自覚症状の違い
歯周病は「サイレントディジーズ(沈黙の病気)」と呼ばれるように、自覚症状に乏しい病気です。歯茎の腫れなどは比較的早期に現れる症状なのですが、痛みなどが生じるのはかなり進行してからです。そのため気付いた頃には重症化していることも珍しくありません。
一方、虫歯は歯周病より自覚しやすい病気といえます。軽度の段階でも歯の表面に穴が開いたり、冷たいものがしみたりするからです。もう少し進行すると、「歯痛」という強い症状も現れるようになります。ですから、虫歯においては「気付いた時には重症化していた」というケースは稀といえます。
▼症状が現れる組織の違い
当然ですが、歯周病は歯茎をはじめとした「歯周組織」、虫歯は「歯」に症状が現れます。これは歯周病と虫歯の根本的な違いといえます。ただし、末期症状として「歯を失う」という点は共通しています。
▼治療法の違い
歯周病と虫歯では、治し方にも違いがあります。歯周病は、お口の衛生状態を向上させることで、少しずつ症状を改善していく病気です。具体的には、クリーニングやスケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング指導などをまず行い、口腔衛生状態を向上させます。そうすることで、お口の中の歯周病菌が徐々に減っていき、歯周病の症状も改善されていきます。
一方で虫歯は治療の方法がダイナミックです。虫歯菌に侵されている歯質を削ることで、無菌状態を作ります。ですから、1本の歯に行える虫歯治療の回数には限度があるのです。
▼まとめ
このように、歯周病と虫歯には、原因から自覚症状、治療法に至るまで、さまざまな違いが存在しています。その違いを理解した上で、お口の病気と向き合うことが大切です。とはいえ、毎日のオーラルケアを徹底することで、どちらも予防することが可能です。
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(このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています)
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長崎大学歯学部歯学科卒業