本当に日本人の7・8割が歯周病なの?
歯周病は日本人の国民病と呼ばれるくらい、その発症率が極めて高いといわれています。よく耳にするのは「日本人の7、8割が歯周病」という話ですよね。でも実際のところ、それほど多くの人が発症している病気なのか、疑問に思われている方も多いことでしょう。
▼治療を受けている人の数はそれほど多くない
「日本人の多くが歯周病にかかっている」という話は、あくまで推測に過ぎません。なぜなら、歯周病で治療を受けている人の数というのは、数百万人程度しかいないからです。もしも日本人の成人の8割が歯周病にかかっているとなると、数千万人の歯周病患者さんが存在していることになります。ただ、歯周病が「沈黙の病気」と呼ばれていることを忘れてはいけません。
▼歯周病は自覚症状に乏しい病気
比較的軽度の歯周病というのは、痛みなどの強い症状が現れることがありません。歯茎が赤く腫れる程度のことはありますが、それだけではなかなか自覚するのが難しいのです。その結果、歯周病を発症しているけれど、そのことに気付いていない人がものすごくたくさんいても何らおかしくはないのです。
▼歯を失う原因の第一位は歯周病
私たちは年を取っていく中で、天然歯をひとつまたひとつと失っていきます。これは決して「加齢」が原因なのではなくて、お口の病気や異常が原因となっているのです。そこでまず思い浮かぶのが「虫歯」ですよね。虫歯は虫歯菌が産生する酸によって、歯質が溶かされていく病気です。重症化すると、歯冠が崩壊して歯の根っこだけになり、最終的には抜歯を余儀なくされます。けれども、歯を失う原因の第一位は虫歯ではなく、歯周病なのです。それは歯周病が「歯を支える組織を破壊する病気」というだけではなく、たくさんの人が発症していることにも関連しています。
▼一度発症するとなかなか治らない
歯周病になっている人が多い理由としてもう一つ「治療するのに時間がかかる」という点が挙げられます。歯周病は虫歯のように、病気にかかっている歯質を削れば治るというものではないため、完治させるには地道な努力が必要となるのです。具体的には、適切なブラッシングを実施して、歯周病の原因となる歯垢や歯石をため込まないように努めなければなりません。もちろん、歯医者さんで受けるクリーニングやスケーリングなどのプロフェショナルケアも欠かせないのです。
▼まとめ
このように、歯周病は自覚症状に乏しく、発症している人の数を正確に把握することは困難といえます。けれども、「日本人の成人の約8割が発症している」という話もあながち間違いではないといえます。それだけに歯周病の症状が少しでも認められたらすぐに歯科を受診するようにしましょう。
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(このコラムは歯科医師によって執筆・監修されています)
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長崎大学歯学部歯学科卒業