インビザライン中の食事で気をつけることは?飲み物・間食・食後ケアも解説
インビザラインは、透明なマウスピース型矯正装置(アライナー)の一種です。自分で取り外せるため、食事のときはマウスピースを外して食べられる点が、装置を歯に装着したままにするワイヤー矯正と異なります。取り外せるぶん食べ物の制限は少ないとされますが、装着したまま飲食したり、食後のケアを省いたりすると、虫歯や着色、マウスピースの変形、装着時間の不足につながることがあります。
食事のたびにマウスピースを外すのか、水以外の飲み物は口にしてよいのか、外食や間食のときはどうすればよいのか。矯正を検討している段階でも、始めたあとでも、迷いやすい場面は少なくありません。
なお、インビザラインによる矯正治療は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。費用は部分矯正か全体矯正か、歯並びの状態、治療計画、医院の方針によって異なります。
詳しい費用の目安や内訳については、下記の記事もご参照ください。
▶インビザラインの費用はどのくらい?相場や内訳、追加費用がかかるケースを解説
この記事では、インビザライン中の食事の基本から、飲み物の選び方、食事の前後のケア、間食や外食での工夫までを、歯科の専門機関の情報をもとに整理します。
インビザライン中の食事はどうすればいい?
インビザライン中の食事で最初に押さえておきたいのは、食べるときはマウスピースを外すという基本です。食べ物そのものの制限と、装着したまま食べられるかどうかも、あわせて整理します。
食事のときは基本的にマウスピースを外す
インビザライン中は、食事のたびにマウスピースを外すのが基本です。マウスピースを装着したまま食べ物を噛むと、装置に強い力がかかり、破損や変形につながることがあります。また、食べ物のかすや汚れがマウスピースと歯の間に入り込み、汚れが残る原因にもなります。
「少しだけなら大丈夫」と自分で判断して装着したまま食べると、気づかないうちに装置を傷めたり、虫歯のリスクを上げたりすることになりかねません。かたい食べ物だけでなく、やわらかいものでも、口に入れるときは外すのが基本です。水以外の飲み物も、同じように外して飲むのが前提になります。
外して食べるため、食べ物そのものの制限は少ない
マウスピースを外して食事ができるインビザラインは、食べ物そのものの制限が少ないとされています。装置を歯に装着したままにするワイヤー矯正では、かたいものや粘着性のあるもので装置が壊れたり外れたりしないよう注意が必要ですが、インビザラインは食べるときに外すため、こうした食べ物の制限を受けにくいと考えられています。
ただし、何を食べても虫歯にならないというわけではありません。糖分の多いものや歯にはさまりやすいものは、食べたあとに歯へ残ると、虫歯のリスクにつながります。食べ物の種類そのものよりも、食後に歯を磨いてからマウスピースを装着するという、食後のケアが前提です。
装着したまま食べられる食べ物は基本的にない
「マウスピースを付けたまま食べられるものはある?」という疑問もよく聞かれますが、装着したまま食べることは基本的に推奨されません。ゼリーやヨーグルト、やわらかい食品であっても、噛む動作で装置に力がかかったり、糖分や酸がマウスピースの内側に残ったりするためです。
透明で汚れが目立たないぶん、装着したままでも問題ないように感じるかもしれません。しかし、装置の破損や変形、虫歯のリスクを抑えるためにも、食事のときはマウスピースを外すことが基本です。事情があってどうしても外せない場面があるときは、自己判断せず、歯科医師の指示に従いましょう。
インビザライン中の飲み物で注意すること
インビザラインを装着したまま飲み物を口にするときは、種類によって注意する点が変わります。水、お茶やコーヒー、糖分や酸を含む飲み物、熱い飲み物に分けて、それぞれの注意点をみていきます。
装着中に飲むなら基本は水
マウスピースを装着したまま飲む場合は、水を選ぶのが基本です。水には糖分や色素が含まれないため、装着したまま飲んでも、虫歯や着色のリスクは比較的小さいと考えられています。装着中に水分をとりたいときは、水を選ぶとよいでしょう。
ただし、同じ水でも熱い白湯には注意が必要です。マウスピースは熱に弱い素材とされ、熱い飲み物では変形につながることがあります。装着したまま口にするのは、常温か冷たい水を基本にします。
コーヒー・紅茶・お茶は着色に注意
コーヒーや紅茶、緑茶、ウーロン茶などは、色素による着色に注意したい飲み物です。これらに含まれる色素は、装着したまま飲むとマウスピースに移り、透明感が損なわれることがあります。マウスピースが色づくと、口元で目立ちやすくなります。
これらを飲むときは、マウスピースを外してから飲むのが基本です。飲んだあとは、口をゆすぐか歯を磨いてから装着すると、色素や汚れを歯とマウスピースの間に残しにくくなります。
ジュース・スポーツドリンク・炭酸飲料は虫歯リスクに注意
ジュースやスポーツドリンク、炭酸飲料など、糖分を含む飲み物や酸性の飲み物は、虫歯のリスクに注意が必要です。糖分を含む飲み物を装着したまま飲むと、糖分がマウスピースの内側にたまり、歯が糖分の影響を受ける時間が長くなります。炭酸飲料や酸性の飲み物では、歯が酸にさらされる時間が長くなることもあります。
色がついていない飲み物でも、糖分や酸を含むものには注意が必要です。無色透明だから装着したままでよい、というわけではありません。これらを飲むときも、マウスピースを外し、飲んだあとは口をゆすぐか歯を磨いてから装着します。
熱い飲み物はマウスピースの変形につながることがある
熱いお茶やコーヒー、スープなどの温度の高い飲み物は、マウスピースの変形につながることがあります。マウスピースは薄いプラスチックでできた熱に弱い素材とされ、熱い飲み物を装着したまま口にすると、変形してフィット感が変わることがあるためです。
マウスピースが変形して合わなくなると、歯を計画どおりに動かすうえで支障が出ることもあります。温度の高い飲み物は、マウスピースを外してから飲むのが基本です。装着していて違和感が出たときは、自己判断せず歯科医院に相談しましょう。
食事の前後で気をつけたいこと
食事のためにマウスピースを外したあとは、適切に保管し、食後のケアを行うことが重要です。マウスピースを外してから再び装着するまでの流れにそって、気をつけたい点を整理します。
食事前はケースに入れて保管する
食事でマウスピースを外したら、専用のケースに入れて保管します。外したマウスピースをティッシュに包んで置くと、そのまま捨てたり、置き場所を忘れて紛失したりする原因になりがちです。ポケットやバッグにそのまま入れると、割れや変形にもつながります。
外食のときも、専用ケースを持ち歩いておくと、外したマウスピースをその場で保管できます。もしマウスピースを紛失・破損したときは、自己判断で前後のマウスピースを使わず、歯科医院に連絡して指示を受けましょう。装着する順番や時期は治療計画で決まっているため、勝手に別のマウスピースへ変えると、歯の動きに影響することがあります。
食後は歯磨きしてから再装着する
食後にマウスピースを装着するときは、その前に歯を磨くのが基本です。汚れや食べかすが歯に残ったまま装着すると、マウスピースが歯にふたをするような状態になり、汚れが歯の表面に密着しやすくなります。こうした状態が続くと、虫歯や歯周病、口臭のリスクにつながりかねません。
外出先などで歯を磨けないときは、まず水で口をゆすいでから装着し、できるだけ早く歯を磨くようにします。口をゆすぐことで、糖分や食べかすをある程度洗い流せますが、歯磨きの代わりになるわけではありません。応急的な対応として口をゆすぐだけでも、すぐに歯磨きができない場合でも、応急的に口をゆすぐことで、糖分や食べかすをある程度洗い流せます。
食後のケアと虫歯予防については、下記の記事もご参照ください。
マウスピースも水で洗ってから戻す
歯を磨いたあとは、マウスピースも水で軽く洗ってから装着します。マウスピースの内側には唾液や汚れがたまりやすく、そのまま戻すと、汚れを歯にかぶせることになりかねません。外したときに、水を流しながら清潔な指や、やわらかい歯ブラシでやさしく洗うと、内側のぬめりを落としやすくなります。
このとき、熱湯は使用しません。マウスピースは熱に弱いため、熱湯をかけると変形の原因になります。研磨剤の入った歯磨き剤で強くこすると、表面に細かい傷がつき、そこへ汚れや細菌がたまりやすくなる点にも注意が必要です。自己流の強い清掃は避け、洗い方や洗浄剤の選び方は歯科医院の指示にそって確認しましょう。
間食や外食のときはどうする?
食事だけでなく、間食や外食のときにも、マウスピースの扱いに迷いやすい場面があります。間食のとり方、外食時の持ち物、長時間の食事での装着時間について、それぞれみていきましょう。
間食のたびに外す必要がある
間食のときも、食べるたびにマウスピースを外す必要があります。少量のお菓子や軽食でも、装着したまま食べると、装置に力がかかったり、糖分がマウスピースの内側に残ったりするためです。
間食の回数が増えると、そのたびにマウスピースを外すことになり、外している時間が積み重なって装着時間が足りなくなりやすい面もあります。間食の回数をあらかじめ決めておく、食事の時間にまとめて食べるなど、外す回数を減らす工夫が役立ちます。
外食時はケース・歯ブラシ・携帯用ケア用品を持ち歩く
外食では、マウスピースを外す場所や、食後に歯を磨くタイミングに困りやすくなります。こうした場面にそなえて、外出時には次のようなものを持ち歩いておくと対応しやすくなります。
・マウスピースを保管する専用ケース
・携帯用の歯ブラシ
・デンタルフロス
・マウスウォッシュ
これらがあれば、外食先でもマウスピースを保管し、食後に歯を磨いてから装着しやすくなります。ただし、マウスウォッシュは歯磨きの代わりになるものではなく、あくまで補助として使用するものです。使用できるときも、できるだけ歯を磨いてから装着します。
長時間の食事では装着時間に注意する
会食や飲み会など、食事の時間が長くなるときは、マウスピースを外している時間が長くなりやすい点に注意します。インビザラインは、1日20〜22時間程度の装着が目安とされることが多く、外している時間が積み重なると、1日の装着時間が足りなくなりかねません。
装着時間が不足すると、歯が計画どおりに動かず、治療が予定より延びることがあります。長時間の食事が続くときは、外している時間を意識し、食べ終わったら早めに歯を磨いて装着します。
装着時間と治療の関係については、下記の記事をご参照ください。
▶インビザラインの装着時間を守れないとどうなる?影響と対処法を解説
インビザライン中に避けたい食事・飲み物の習慣
無意識に続けやすい習慣を、避けたい行動として整理します。あてはまるものがないか、見直す目安になります。
装着したまま噛む・食べる
マウスピースを装着したまま食べ物を噛む習慣は、避けたい行動のひとつです。ひと口のお菓子や一切れの果物など、少量なら大丈夫だろうと、つい外さずに口にしがちな場面もあります。少量でも噛む動作があるものは、装置の破損や変形、汚れの付着につながるため、口に入れる前にマウスピースを外すのが基本です。
食べるときは外すという習慣を身につけると、装置を傷めにくくなります。外すことが習慣になれば、食べるたびに迷いません。
甘い飲み物をだらだら飲む
甘い飲み物を長い時間だらだらと飲み続ける習慣も、避けたい行動です。糖分を含む飲み物を少しずつ長く飲むと、歯が糖分や酸にさらされる時間が長くなります。一般的に、少しずつ何度も飲食すると、歯が酸にさらされる時間が長くなり、脱灰と再石灰化のバランスが崩れやすくなるとされています。
とくにマウスピースを装着したまま糖分や酸を含む飲み物を飲むと、成分がマウスピースの内側に残りやすく、歯が影響を受ける時間も長くなりがちです。スポーツドリンクや乳酸菌飲料、ジュース、砂糖を加えたコーヒーなどは、だらだら飲まず、時間を決めて飲むのが基本です。飲んだあとは、口をゆすぐか歯を磨くことで、糖分や酸を残しにくくなります。
食後すぐに戻さず長時間外したままにする
食後にマウスピースをすぐ装着せず、長い時間外したままにする習慣も見直したい行動です。食べ終わったあとに戻し忘れると、そのぶん装着時間が足りなくなります。装着時間の不足は、歯が計画どおりに動かなかったり、動かしている途中の歯が元の位置へ戻ろうとしたりする原因になりかねません。
外したマウスピースを戻し忘れないために、スマートフォンのアラームを使う、食後に歯を磨いて装着するまでをひとつの流れにするなど、生活のなかで戻すタイミングを決めておくと続けやすくなります。
食事中に痛みや違和感があるときの対応
食事のときに、噛むと痛みや違和感を感じることがあります。原因によって対応が変わるため、マウスピースを交換した直後の違和感と、マウスピースが合わないときに分けて整理します。
新しいマウスピースに交換した直後は違和感が出ることがある
新しいマウスピースに交換した直後は、噛んだときに違和感が出ることがあります。交換したばかりのマウスピースは、次の段階へ歯を動かすために歯へ力がかかり、その力を締めつけや圧迫のように感じることがあるためです。こうした違和感は、装着を続けるうちに和らいでいくとされています。
かたいものが食べにくいと感じるときは、無理をせず、やわらかい食事を選ぶと負担を抑えられます。ただし、強い痛みが続く場合や、日を追っても和らがない場合は、そのままにせず歯科医院に相談しましょう。
マウスピースが浮く・合わない場合は相談する
マウスピースが浮く、しっかりはまらない、次のマウスピースが合いにくいといった状態が続くときは、歯科医院に相談します。装着時間が足りなかったり、マウスピースが変形していたり、歯の動きが計画とずれていたりすると、マウスピースが合いにくくなることがあります。
このようなとき、無理に押し込んで装着したり、自己判断で次のマウスピースに進めたりするのは避けたい対応です。マウスピース型矯正装置は、歯科医師の診断や管理のもとで使用することが前提です。合わない状態や違和感が続くときは、自己判断せず、早めに歯科医院へ相談しましょう。
まとめ
インビザライン中の食事は、外す・磨く・戻すが基本の流れです。食事や間食のときはマウスピースを外し、装着したまま食べられる食べ物は基本的にありません。装着したまま口にしてよいのは、糖分や色素を含まない水が基本です。
お茶やコーヒーは色素による着色に、糖分を含む飲み物や酸性の飲み物は虫歯のリスクに、それぞれ注意が必要です。食後は歯を磨き、マウスピースも水で洗ってから装着します。間食や外食では、外している時間が積み重なって装着時間が足りなくならないよう気をつけましょう。
食事や飲み物のルールは、治療計画や医院の方針によって説明が異なることがあります。虫歯のリスクが高い方、着色が気になる方、装着時間を守りにくい方は、自己判断せず歯科医院に相談すると、自分に合った続け方を確認しやすくなります。マウスピースの破損や変形、紛失、強い痛み、うまくはまらないといったときも、早めに歯科医院へ連絡しましょう。
なお、インビザラインによる矯正治療は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。費用や治療期間、通院回数、治療中の痛みや違和感、虫歯や歯周病のリスク、計画どおりに歯が動かない可能性などは、歯並びの状態や治療計画、医院の方針によって異なります。
装着時間は、1日20〜22時間程度が目安とされることが多いです。外している時間が長くなると、装着時間が不足し、歯の動きや治療期間に影響が出ることがあります。治療を始める前に、費用やリスク、食事や飲み物のルールを含めて確認しておくと、自分に合った進め方を把握しやすくなります。