インプラント手術時間はどのくらい?当日の流れや長くなるケース、術後の注意点を解説
インプラント治療を考えるとき、手術にどのくらい時間がかかるのか、当日はどのような流れで進むのかが気になる方もいるでしょう。手術そのものの時間だけでなく、来院から帰宅までの目安を知っておくと、当日の予定を立てやすくなります。
手術時間は、インプラントを埋め込む本数や顎の骨の状態、骨を補う処置の有無などによって変わります。1本だけ埋入する場合と、複数本を同時に埋入する場合、骨造成を組み合わせる場合では、必要な時間も異なります。
この記事では、インプラント手術時間の目安や当日の流れ、手術時間が長くなるケース、術後の安静時間について解説します。なお、インプラント治療は外科処置を伴う自由診療となることが多く、治療内容・費用・リスクは口腔内の状態や医院によって異なります。
インプラント手術時間の目安
まずは、インプラント手術にかかる時間の考え方と、所要時間が変わる主な理由を整理します。
1本あたりの手術時間の目安
インプラントを顎の骨に埋め込む処置は、1本であれば比較的短時間で終わることもあります。インプラント1本の手術では、処置内容がシンプルな場合、入室から退室まで1時間程度がひとつの目安になることがあります。ただし、実際の所要時間は、口の中の状態や埋め込む位置、骨や歯ぐきの状態によって変わります。
たとえば、骨の量が十分にあり処置がシンプルな場合と、骨や歯ぐきの状態を確認しながら慎重に進める場合では、かかる時間が同じとは限りません。
本数が増えると手術時間も長くなりやすい
インプラントを埋め込む本数が増えると、処置する範囲も広がります。1本だけ埋入する場合と、複数本を同時に埋入する場合では、手術の進め方や確認する項目が異なるためです。
複数本の治療を予定している場合は、手術全体でどのくらいかかる見込みなのかを確認しておきましょう。
手術前後の準備時間も含めて考える必要がある
インプラント手術にかかる時間を考えるときは、埋入処置そのものだけでなく、前後の準備や確認の時間も含めて見ておく必要があります。当日は、体調や血圧の確認、麻酔、処置後の止血、術後の注意事項の説明なども行われます。
そのため、来院から帰宅までの時間は、処置そのものの時間より長くなるのが一般的です。
実際の所要時間は口腔内の状態によって異なる
同じインプラント手術でも、口の中の状態によって所要時間は変わります。主に関係するのは、次のような点です。
・顎の骨の高さや幅
・歯ぐきの状態
・治療する部位
・骨を補う処置の有無
骨や歯ぐきの状態、治療する場所によって、必要な手順は異なります。
インプラント手術当日はどのように進む?
ここでは、来院してから帰宅するまでの基本的な流れを整理します。当日の進み方を知っておくと、手術前後の予定も立てやすくなります。
来院後に体調や治療内容を確認する
来院後は、手術の前に体調や血圧、服用中の薬などを確認します。あわせて、その日に行う治療内容や手術の流れも確認し、処置に入る準備を整えます。
発熱や体調不良、服用薬の変更などがある場合は、この段階で歯科医師や歯科衛生士に伝えましょう。
麻酔を行い痛みに配慮しながら進める
処置の前には、痛みを抑えるために局所麻酔を行います。インプラント手術では、一般的に局所麻酔を用いて痛みに配慮しながら処置を進めます。
麻酔が効いていることを確認してから処置を進めますが、痛みの感じ方には個人差があります。麻酔が効きにくいと感じるときや、処置中につらさがあるときは、がまんせずに歯科医師に伝えましょう。
インプラント体を埋め込む処置を行う
麻酔が効いたら、インプラント手術では、一般的に局所麻酔を用いて痛みに配慮しながら処置を進めます。インプラント体は、人工歯を支える土台になる部分です。埋め込む範囲や方法は、検査結果と治療計画に基づいて決まります。
必要に応じて縫合や止血を行う
インプラント体を埋入したあとは、歯ぐきを縫い合わせたり、出血の状態を確認したりします。縫合の有無や範囲は、処置の内容や歯ぐきの状態によって異なります。
手術時間を考えるときは、インプラント体を埋め込む時間だけでなく、縫合や止血などの処置も含めて見ておくことが大切です。
術後の状態を確認してから帰宅する
処置が終わったあとも、すぐに帰宅するわけではありません。出血の状態や気分の悪さがないかを確認し、問題がなければ帰宅の準備に進みます。
その際、当日の過ごし方や薬の飲み方、食事や歯みがきの注意点などについて説明を受けます。帰宅後の過ごし方を理解しておくためにも、わからないことがあればその場で確認しておきましょう。
インプラント手術時間が長くなるケース
ここでは、インプラント手術にかかる時間が長くなりやすいのがどのような場合かを整理します。
複数本のインプラントを同時に埋入する場合
一度に複数本のインプラントを埋入する場合は、処置する範囲が広がります。埋め込む位置や角度を一つずつ確認しながら進めるため、1本だけの場合よりも手術時間は長くなる傾向です。
ただし、同じ本数でも、埋め込む場所や骨の状態によって所要時間は変わります。一度にまとめて行うか、複数回に分けるかは、体への負担や治療全体の流れを踏まえて判断します。
顎の骨の量が不足している場合
顎の骨の量や厚みが不足している場合は、通常よりも手術時間が長くなることがあります。骨の状態を確認しながら進めたり、骨を補う処置を組み合わせたりする必要があるためです。
顎の骨量が不足している場合の治療方法については、下記の記事で詳しく紹介しています。
▶インプラントは骨がないとできない?骨量が足りない場合の治療方法と確認したいポイント
骨造成を同時に行う場合
インプラントの埋入と同時に骨造成を行う場合は、骨を補うための手順が加わります。そのため、インプラント体を埋入するだけの場合よりも、手術時間は長くなる傾向があります。
骨造成の方法のひとつであるGBRについては、下記の記事もあわせてご覧ください。
▶GBRとは?必要なケースやメリット・デメリット、流れなどを解説
上顎の奥歯など処置が複雑になりやすい部位の場合
上顎の奥歯は、上顎洞という空洞が近くにあり、骨の厚みにも個人差が出やすい部位です。上顎洞との距離や骨の量を慎重に見ながら処置を進めるため、ほかの部位より診断や手術に時間がかかることがあります。
治療する場所によって、必要な処置や手術の進め方は異なります。奥歯のインプラントを検討している場合は、検査結果をもとに、手術時間の目安や骨を補う処置の必要性について説明を受けておきましょう。
全身状態を確認しながら慎重に進める必要がある場合
持病や服用中の薬、血圧などの状態によっては、体調を確認しながら処置を進める必要があります。全身状態に配慮しながら行う場合は、通常よりも時間に余裕をもたせた計画が必要になる場合があります。
持病がある方や薬を飲んでいる方は、治療前に歯科医師へ正確に伝えておきましょう。
骨造成を併用する場合の手術時間
骨が足りない場合に行う骨造成には、複数の方法があります。ここでは代表的な処置と、手術時間や治療期間にどのように関わるのかを整理します。
GBRを行う場合
GBRは、骨の幅や高さが足りない部分に骨補填材などを入れ、インプラント体を安定させるために、骨の幅や高さを補う処置です。インプラントの埋入と同時に行う場合もあれば、先に骨を増やしてから、別の日にインプラント体を埋め込む場合もあります。
GBRの詳しい内容や治療の流れについては、下記の記事をご覧ください。
▶GBRとは?必要なケースやメリット・デメリット、流れなどを解説
ソケットリフトを行う場合
ソケットリフトは、上の顎の奥歯で骨の高さが足りない場合に検討される方法のひとつです。上顎洞の底を押し上げるようにして、インプラントを支えるための骨の高さを補います。骨の不足が比較的少ない場合に検討される処置です。
ソケットリフトの特徴や費用などは、下記の記事で詳しく取り上げています。
▶ソケットリフトとはどんな治療法?メリット・デメリットや費用などを徹底解説
サイナスリフトを行う場合
サイナスリフトも、上の顎の奥歯で骨が足りない場合に検討される処置です。上顎洞の近くで骨の高さが大きく不足している場合などに、インプラントを支える骨量を補う目的で行われます。ソケットリフトとは処置の範囲や方法が異なり、状況によっては治療にかかる期間が長くなることがあります。
サイナスリフトの特徴やソケットリフトとの違いについては、下記の記事をご参照ください。
▶サイナスリフトとは?ソケットリフトとの違いや費用、期間、リスクを徹底解説
骨造成を同時に行うか別日に行うかで期間が変わる
骨造成には、インプラントの埋入と同時に行う方法と、先に骨を補ってから別日に埋入する方法があります。日本口腔インプラント学会によると、骨造成は埋入手術と同時に行う場合と、事前に別の処置として行う場合があると説明されています。
別日に分ける場合は、骨が安定するまで待ってからインプラント体を埋入する流れです。その分、治療全体の期間は長くなる傾向があります。
どちらの進め方が適しているかは、骨の量や状態をもとに判断されます。
追加処置の有無はCT検査などで判断する
骨造成が必要かどうかは、見た目だけでは判断できません。レントゲンや歯科用CTで骨の高さや幅、形を立体的に調べたうえで、骨を補う処置が必要かを判断します。
事前の検査で骨の状態がわかれば、手術時間や治療の進め方も具体的に考えやすくなります。骨の量や厚みが気になる場合は、検査結果をもとに、追加処置の必要性について確認しておきましょう。
手術時間が長いと身体への負担は大きくなる?
「手術時間が長いと、体への負担も大きくなるのでは」と気になる方もいるでしょう。ここでは、手術時間と体への負担の関係、治療前に確認しておきたい点を整理します。
手術時間だけで負担が決まるわけではない
体への負担は、手術時間の長さだけで決まるものではありません。処置する範囲や骨造成の有無、全身の状態、麻酔の使い方、術後の過ごし方なども関係する場合があります。
短時間の手術でも、体調によっては負担を感じることがあります。一方で、時間が長めにかかる場合でも、体調を確認しながら進めることで負担に配慮できるケースもあります。
自分の場合はどのような処置になるのか、当日や術後にどのような点に注意すればよいのかを歯科医師に確認しておきましょう。
麻酔や体調管理を行いながら進める
インプラント手術では、局所麻酔で痛みに配慮しながら処置を行います。医院や症例によって対応は異なりますが、必要に応じて血圧や全身状態を確認しながら進められることがあります。
インプラント手術は外科処置のため、腫れや痛み、出血、感染などが起こる可能性があります。症状の出方には個人差があるため、持病や服用中の薬、不安な点がある場合は、治療前に歯科医師へ伝えておきましょう。
持病がある方や服薬中の方は事前確認が重要
日本口腔インプラント学会では、高血圧などの循環器疾患、糖尿病、骨粗しょう症、腎臓や肝臓の機能障害などがある場合、治療にあたって注意が必要だとしています。
また、厚生労働省の資料でも、持病がある場合は、埋入手術の前に主治医へ相談することがすすめられています。持病があるからといって、必ず治療を受けられないわけではありませんが、手術の進め方や注意点に関わるため、事前の共有が欠かせません。
治療前には、次のような情報を歯科医師へ伝えておきましょう。
・持病の有無
・現在服用している薬やサプリメント
・骨粗しょう症の治療歴や使用している薬
・過去の手術歴
・麻酔で体調が悪くなった経験
必要に応じて主治医と連携しながら、治療できる状態かどうかを確認します。
不安が強い場合は事前に歯科医師へ相談する
痛みや手術時間への不安が強い場合は、治療前のカウンセリングで伝えておきましょう。手術にかかる時間の目安や、痛みへの配慮について聞いておくと、当日の流れをイメージしやすくなります。
不安が強い方には、静脈内鎮静法などを検討できる場合もあります。ただし、対応の有無や適応は医院や全身状態によって異なるため、希望する場合は事前に確認しましょう。
インプラント手術後に必要な安静時間
手術が終わったあとは、体を休める時間も大切です。ここでは、手術直後から帰宅後にかけて気をつけたいことを整理します。
手術直後は出血や体調の変化を確認する
手術直後は、出血の状態や気分の悪さ、ふらつきなどがないかを確認します。体調に問題がないかを見てから、帰宅の準備に進む流れです。
痛みや出血、気分の悪さなど気になる症状がある場合は、がまんせずにその場でスタッフへ伝えましょう。
帰宅後は無理をせず安静に過ごす
手術当日は仕事や家事を詰め込みすぎず、ゆっくり過ごせるよう予定を調整しておくことが大切です。
激しい運動や長時間の入浴などで血行がよくなると、出血や腫れにつながることがあります。当日は体に負担のかかる行動を控え、安静に過ごせる時間を確保しておきましょう。
当日は飲酒・激しい運動・長時間の入浴を控える
手術当日は、血行を促す行動を控える必要があります。血行がよくなると、出血や腫れが強くなることがあるためです。
具体的には、次のような行動はできるだけ避けましょう。
・お酒を飲むこと
・ジョギングなど激しい運動
・長時間の入浴やサウナ
入浴はシャワーで軽く済ませる程度にとどめ、歯科医院から指示がある場合はその内容に従いましょう。
食事は麻酔が切れてから慎重に再開する
麻酔が効いている間は頬や唇の感覚が鈍く、気づかないうちに頬の内側を噛んだり、熱いものでやけどをしたりするおそれがあります。
麻酔が切れたあとも、傷口に負担をかけないよう注意が必要です。やわらかいものを選び、手術した部位の反対側で噛むなど、食べ方にも気をつけましょう。
腫れや痛みが続く場合は歯科医院に相談する
手術後の痛みや腫れには個人差があります。神奈川県歯科医師会の案内では、腫れは手術後2〜3日がピークで、通常は1週間程度で治まると紹介されています。ただし、症状の出方には個人差があります。回復の早さは人によって異なるため、全員が同じ経過をたどるわけではありません。
痛みや腫れ、出血が長引くときや、だんだん強くなるように感じるときは、早めに歯科医院へ相談しましょう。
インプラント手術を受ける前に確認したいこと
インプラント手術を受ける前には、当日の流れや治療計画について確認しておきたい点があります。予約やカウンセリングの段階で把握しておくと、手術当日の予定を立てやすくなります。
手術当日の所要時間を確認する
手術そのものにかかる時間だけでなく、来院から帰宅までの目安も確認しておきましょう。受付や麻酔、術後の確認、説明の時間まで含めると、院内で過ごす時間は処置時間より長くなることがあります。
必要に応じて、付き添いや送り迎えの有無も相談しておくとよいでしょう。
追加処置の有無を確認する
インプラント治療では、骨造成や抜歯、仮歯の作製など、追加の処置が必要になることがあります。こうした処置の有無によって、手術時間だけでなく、費用や通院回数にも差が出ます。
インプラント治療は、原則として自由診療となることが多く、保険適用となるケースは限られています。インプラント治療は、原則として自由診療となることが多く、保険適用となるケースは限られています。見積もりや説明を受ける際は、追加処置が含まれているか、通院期間や回数はどのくらいかを確認しておきましょう。
また、外科処置を伴うため、感染・腫れ・出血・痛みなどが起こる可能性もあります。費用や期間だけでなく、リスクや副作用についても事前に説明を受けておくことが大切です。
術後の通院スケジュールを確認する
インプラント手術後には、傷口の消毒や抜糸、経過観察、人工歯を取り付ける処置などで、複数回の通院が必要になることがあります。また、骨とインプラント体が結合するまでには一定の期間を要し、その期間は骨の状態や治療部位、骨造成の有無によって異なります。治療全体にかかる期間は、骨の状態や骨造成の有無によって変わるため、手術前に通院の目安を確認しておきましょう。
人工歯が入ったあとも、よい状態を保つには定期的なメンテナンスが欠かせません。日本口腔インプラント学会も、治療後の状態を維持するためには、定期的な経過観察が重要だとしています。
仕事や予定に支障が出ない日程を選ぶ
手術当日や翌日は、できるだけ体を休められる日を選んでおくと過ごしやすくなります。腫れや痛みの出方には個人差があり、人によっては翌日まで違和感が残ることもあります。
大事な予定や人前に出る用事がある場合は、その時期を避けて手術日を決めるのもひとつの方法です。仕事の都合で迷うときは、回復にかかる時間の目安を歯科医師に確認し、余裕をもって日程を組みましょう。
持病や服薬状況を事前に伝える
持病や現在飲んでいる薬は、手術の計画に関わる大切な情報です。体の状態によって、治療の進め方や注意点が変わることがあります。お薬手帳を用意しておくと、伝え忘れを減らしやすくなります。
血液をさらさらにする薬や骨粗しょう症の薬などは、特に確認が必要になる場合があります。自己判断で薬を止めたりせず、服用中の薬は正確に伝えましょう。必要な対応は、歯科医師や主治医と相談しながら決めることが大切です。
まとめ
インプラント手術にかかる時間は、埋め込む本数や顎の骨の状態、骨造成などの追加処置の有無によって変わります。手術そのものの時間だけでなく、来院から帰宅までの流れや術後の通院も含めて見通しを立てておきましょう。
手術当日は、体調や治療内容の確認から始まり、麻酔、インプラント体の埋入、縫合や止血、術後の確認という流れで進みます。手術後は無理をせず安静に過ごし、飲酒や激しい運動、長時間の入浴は控える必要があります。食事は麻酔が切れてから再開し、痛みや腫れが長引く場合は自己判断せず歯科医院へ相談することが大切です。
インプラントは失った歯を補う方法のひとつですが、外科手術を伴うため、腫れ・痛み・出血・感染などのリスクがあります。また、治療後の状態を保つには定期的なメンテナンスも必要です。手術時間や費用、術後の過ごし方、通院スケジュールなどを事前に確認しておくと、治療全体の流れを把握しやすくなります。気になる点がある場合は、治療を受ける前に歯科医師へ相談しておきましょう。